働き方

成長し続けることは本当に当たり前のことなのか…

投稿日:2017年5月29日 / by

よくなることが当たり前といわれて30年

どんなに医療が発達しても、どんなに健康的な生活を維持しても、人は必ず死にます。何ごとにも、終わりがあるのです。人口増加にも、終わりはあります。永遠に増やし続けることなど出来ないのです。つまり、人口増加による経済発展も、必ず終わりを迎えるのです。

経済が発展し続けること。会社が成長し続けること。売上と利益が伸び続けること。給料が上がり続けること。それが当たり前、という時代を、私たちは生きてきました。昨日より、良くなることが当たり前。でもその常識が、変わろうとしているのです。

いずれ収入は頭打ちになるでしょう。いや、もうずっと前から、日本人の収入は頭打ちになっています。ただそれを、一時的な停滞だと思っているだけ。失われた10年が、失われた20年になり、ついには、失われた30年になろうとしています。もう、そろそろ、認めた方がいいと思います。これが普通なのだと。

何も変わっていない事実を認める潮時

この先、給料が増えたとしても、同じだけ物価も上がるでしょう。給料が下がり続ければ、物価も下がるでしょう。どちらでも同じことです。まあ、気分的には、上がった方がいいです。物価も上がったけど、給料も増えた。その方が気持ちいい。でも現実には、何も変わっていないのです。

もちろん頑張れば、ある程度までは収入が増えます。でも増え続けはしない。必ずどこかで頭打ちになる。それは悲観すべき未来でしょうか。そんなことはない、と私は思います。私たちはちょっと、成長に慣れ過ぎてしまっているのです。

競争に勝つこと。売上と利益を拡大すること。成長し続けること。それが当たり前。確かにそうやって、人類は発展してきました。でも、いつまでこれを続けるのでしょう。飽くなき発展、終わりなき成長。そんなものは幻想でしかありません。

現状に満足しないことによって、私たちは成長しました。そして十分、豊かになりました。もうそろそろ、現状に満足してもいい年頃ではないでしょうか。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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