働き方

片岡鶴太郎氏が62歳を過ぎてなお、新たな挑戦を続けられる極意とは

投稿日:2017年6月13日 / by

“40にして迷い、50にして居場所を失わない”ための極意

俳優・タレント・画家・ボクサー…。全てがプロレベルの片岡鶴太郎氏の肩書に、新たな称号が加わった。インド政府公認“プロフェッショナルヨガ検定 インストラクターだ。本場インドのヨガマスターを含めても、合格者が約1800人しかいないという超難関。同氏は、ヨーガを始め、わずか5年でその境地に辿り着いた。還暦を超え、ますます生気がみなぎる同氏はなぜ、いつまで貪欲であり続けられるのか。悩める中高年会社員が学ぶべきヒントを探る――。

プロヨガ検定インストラクター合格&ヨガ親善大使就任

四十にして惑わず。五十にして天命を知る。孔子が晩年に振り返ったとされる言葉だが、いま、これにうなずける中高年会社員はどれくらいいるだろうか。「むしろ逆だ」。迷いに迷い、居場所すら見いだせられない…。もしかすると、そんな人の方が大勢を占めるのかもしれない。

ヨガ習得の裏話を明かす鶴太郎氏

齢62の鶴太郎氏。新たにインド政府公認プロフェッショナルヨガ検定インストラクター合格し、ヨガ親善大使に就任するなど、老いてなお盛ん。そのマルチぶりはとどまることを知らない。物まね芸人から芸能の世界に入り、その後、役者、画家、書家といずれも極める域までやり抜く姿勢は、まさに求道者。特に40歳以降に多能ぶりに磨きがかかっており、中高年には学ぶべき点が多々ある。

「自分の魂が歓喜するシード(種)は、誰の中にも必ずあって、自分にしか気づくことができません。もしも小さなシードの存在に気付いたら水をやり、声を掛け、慈しんで育ててください。失敗してもめげず、周りの人が何と言おうと振り回されずに」。自著「50代から本気で遊べば人生は愉しくなる」(SBクリエイティブ)で、そう極意を明かしている同氏。30代後半には、仕事で行き詰まりを感じる時もあったそうだが、それがシードを意識し、見付けるきっかけになったというから、やりがいを見失っている中高年も諦めてはいけない。

40代を過ぎても新たな挑戦を続けられる原動力とは

会社勤めをしている中高年にとって、40代以降は難しい年代といえる。出世コースから外れていれば、大きな仕事に関わる機会も減り、仕事にやりがいを見出しづらくなる。後進の指導といっても、業種によってはむしろ、若年層の方が必要知識を備えているケースも珍しくなく、職場で宙ぶらりんになりがちだ。そもそも、やらされ感や義務感で仕事と向き合っているとすれば、同氏のいう「魂が歓喜するシード」の存在に気付くことさえないかもしれない。

この笑顔をみるだけで心身の充実ぶりが分かる

同氏自身は、節目節目で純粋な好奇心や苦悩を経るなどしてシードを見つけ、その水やりに多くの時間を費やし、芽を出している。これを、会社員にあてはめたとき、簡単にはマネはできないと思うかもしれない。だが、同氏とて、仕事セーブするなどリスクを背負ってのチャレンジだ。その間、大幅に収入を減らしている。それでも意に介さず突き進み、ひとつの道を極めている。著書では「お金があって大きな家があって…。多くの人が信じる幸福像は、ひょっとして自分自身の幸福ではないかもしれません」と苦悩の末にたどり着いた心境を明かしている。

それでも結果的に、画家や書家ではプロとしての評価を得、地位を確保。収入面でも恩恵を得ている。心の底からやりたい。楽しめる。そうした思いを抱いてのトライだから、プロセスで発生するどんな苦難も辛くない。そして、その先には贈り物がある。鶴太郎氏はそれを「ギフト」と呼んでいる。

57歳から始めたヨガで心身がさらに進化

親善大使に就任したヨガを始めたのは57歳。「瞑想をマスターしたい」というささいな思いがきっかけだ。そこから思わぬつながりが生まれ、その習得に没頭。いまでは、朝3時ごろに起床し、7時間もの時間を費やすことが日課になっている。一般にコントロールできないといわれている腹直筋を意識的にあやつる高度な技術・ナウリでは、内蔵全体を引き上げ、肝臓から腎臓、膵臓、胃、腸とあらゆる臓器をグネグネとマッサージ。まさに極めたからこそできる奥義で、心身を研ぎ澄ましている。

究極の奥義・ナウリを披露する鶴太郎氏。洒落た着用パンツはなんと5歳児用

「もともと体が硬く、ヨガには縁がないだろうと思っていたが、師の動画を見よう見まねでやっている内に、半年くらいで少しだけ近い動きができるようになった。そこから日々変化していくのが楽しくてね」と目を輝かす同氏。会社員は、いつの間にか、仕事中心で動くようになる。それは仕方がないとしても、誰にでもあるハズの自分が歓喜するシードに向き合わないまま人生の大半を過ごすのはあまりにも惜しい。仕事とは全く関係ないシードを芽吹かすことで、会社員として一皮むけることにつながることもあるかもしれない。新たな一歩を踏み出すきっかけにつながる可能性もあるだろう。

同氏はヨーガによる効果について「心の持ちようが明るくなって、判断力が研ぎ澄まされた」と60歳を過ぎてなお、心身の進化を実感していると明かす。その上で、「もう毎朝起きるのが楽しくて仕方がない」としみじみ語る。その目は、まさに少年のようにイキイキと輝いている。死んだ魚のような目をした中高年会社員も少ない中、あまりにも対照的な62歳の躍動的な足跡。そこには、人生を楽しむヒントがあふれている。

「好きこそものの上手なれだね」とヨーガ上達の極意を明かす同氏。まずは心から楽しめるシードを見付ける。周囲の目を気にせず、自分の内面と向き合う。そこから、いくつになっても愉しみあふれる人生への道が拓かれることになる。


<究極のマルチタレント>

ヨガ親善大使として、その普及に努める鶴太郎氏は「いまはヨギー100%」とリップサービスしたが、もちろん、現役のコメディアンでもある。この日、半裸でのヨガ披露の際は、「シンシン」と旬ワードを書いたお盆を小道具にあの芸を真似て登場。硬めの空気の会場を一気に和ませた。

画家としても6月14日~7月2日まで「片岡鶴太郎展 還暦紅」を開催(上野の森美術館)。軸となっている俳優業では、日課のヨガのため、午後10時起きという、「海外出張か」、と突っ込みたくなる“超早起き”の日もあるといい、「あっという間」という1日を日々全力で疾走している。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について