働き方

一度会社を潰した私がまた会社をつくった本当の理由

投稿日:2017年8月14日 / by

変人・安田の境目コラム

「潰さないために」は会社をつくる目的にならない

人生に目的は必要なのか。これは究極の質問なのです。目的など無くても生きていけます。食べるものがある。住むところがある。最低限の生活必需品があれば、人は生きていけるのです。

でもそれは、本当に生きていると言えるのでしょうか。死なないことと、生きていることは、イコールなのでしょうか。生きる事を目的とするのか。それとも手段とするのか。そこが大きな分かれ道なのです。

私が「死」について深く考えるようになったのは、会社が倒産してからです。倒産とは、会社にとっての死そのものだからです。ワイキューブという会社は死にました。

いま私は、BFIという、新しい会社を経営しています。今度は潰さないようにしようと、もちろん考えています。あんな辛い思いは、もう二度としたくない。色んな人に迷惑もかけてしまう。絶対に潰さないぞ、と決意する私。それでもやはり、私という人間は、潰さないことを目的には出来ないのです。

潰さないために、会社を経営する。それがどうしても、しっくり来ないのです。だったら会社なんて、つくらなければいい。そう考えてしまうのです。

生きている実感が欲しいという原動力

私が再び会社をつくった目的。その中には、お金を稼ぐことも含まれています。いや、かなり大きな割合です。だから潰さないことは、とても重要なのです。潰れてしまったら、稼ぐどころではなくなる。だからもちろん、潰さないように最善の努力をする。でもそれは、会社をやっていることの目的ではない。私の目的は、潰れない会社をつくることではない。

自問自答の連続です。でもやっぱり、どう考えても、私は潰さないことを目的には、経営出来ないのです。死なないことを目的には、生きられないのです。

だったら、目的は何なのか。実は、まだ決まっていないのです。人生を楽しむことかもしれないし、世の中をあっと驚かせることかもしれない。

とにかく私は、実感が欲しいのです。自分はこのために生きている、と言える実感。それは、自分は生きている、という実感であり、BFIという会社は生きている、という実感。

だから私は企てます。新しい事業を企て、新しい売り方を企て、新しい生き方を企てる。企てこそが、自分の生きている証だからです。人をあっと驚かせたい。そして何よりも自分自身が、あっと驚きたいのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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