働き方

喰種(グール)が教えてくれる、動物としての人間のマナーの悪さ

投稿日:2017年10月2日 / by

変人・安田の境目コラム

人食い人種は本当に悪いのか

最近、東京喰種(グール)に嵌まっています。なかなかグロテスクな漫画なのです。人間以外のものを食べることが出来ない。それが喰種(グール)という生物。その外見は、人間そっくりです。いえ、外見だけではありません。思考も、感情も、人間そのものなのです。友達を大事にし、家族を愛している。

ただひとつ違うのは、人間しか食べられないこと。人間以外から栄養を取れない、ということ。だから仕方なく、彼らは人間を食べるのです。そして人間は、彼らを駆逐しようとします。

人間が、他の生物を食べずに生きていけないように、喰種(グール)は人間を食べずに生きていけません。人間が牛やブタを殺して食べても良いのなら、喰種(グール)が人間を殺して食べても良いはず。それがグールの側から見た理屈。好きで殺しているわけではない。そうしないと、生きていけないのだ。

でも人間の側から見たら、そんな理屈は受け入れられません。人間の側から見たら、単なる殺人鬼。親や子供を食べられた人にとっては、許せない敵。だから人間は、彼らを駆逐しようとします。すべての喰種(グール)は、抹殺されるべき存在なのです。

見る側によって変わる善悪の判断

なかなか考えさせられる漫画です。なぜ人間だけが特別なのか。知能が高いからか。あるいは強い種だからか。

喰種(グール)だって知能は高いです。人間と同じように、感情だってあります。言葉も理解出来るし、愛情も友情もある。そして、人間よりも強い種なのです。喰種(グール)の中には、大食漢もいます。楽しんで人間を殺す喰種(グール)や、美食家の喰種(グール)もいます。人間から見たら、許せない冷酷な存在でしょう。

でもそれは、人間だって同じです。肥満になっても、他の動物を食べ続ける。楽しんで釣りや狩猟を行う。美食家の人間なんて、腐るほどいます。

動物から見た人間と、人間から見た喰種(グール)。それは、まったく同じ構造なのです。人間と動物が共存しているように、人間と喰種(グール)は共存出来るのか。

もし、共存出来るとしたら、そこには最低限の食事マナーが必要でしょう。必要以上に食べない、とか。必要以上に楽しまない、とか。

ただそれは、人間がいつもやっている事。必要以上に食べ、必要以上に食事を楽しむ。必要以上に稼ぎ、必要以上に欲しがり、必要以上に数を増やし、必要以上に長生きする。人間とは、かなりマナーの悪い動物なのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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