働き方

後継者不足が招く、今後10年の最悪シナリオとは

投稿日:2017年11月28日 / by

中小企業を取り巻く事業承継問題という深刻事態

働き方改革以前に事業がなくなってしまう…。企業を取り巻く環境が激動期にある中、10年後には思わぬ形で大量の仕事が消滅しかねない事態に直面している。後継者不在による、事業承継問題だ。少子高齢化を背景にした中小企業に忍び寄る暗い影。放置することで発生する損失は計り知れないものがあり、日本経済全体にも悪影響が及ぶことは避けられない。

新サービス開発の経緯を明かす南社長

経営者の3人に1人が後継ぎがいない。しかも、2025年には約245万人の経営者が70歳を超える--。この数字をみるだけでもいかに中小企業の事業承継問題が深刻かが分かるだろう。ちなみに、2016年の休廃業・解散件数は過去最高の2万9,583件(東京商工リサーチ調べ)。この内、ほぼ半数の49.1%が黒字企業だ。もしもこの状況を放置すれば、2025年までの累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる恐れがある…。

なぜ、これほどの危機がズルズルと引きずられているのか。その理由は大きく3つある。ひとつは、かつての事業承継の主流だった親族や従業員への承継が価値観の変化などで難しくなっていることがある。その対策として外部人材の採用があるが、優秀な人材を確保しづらい中小企業にとって、これも簡単でない。そして3つ目が、他企業への事業承継、つまりM&Aだが、これも着手金の高さなどがネックとなり、実現困難なのが実状だ。

少子化による人材難と小資本による資金難。それに伴う事業承継機会の少なさ…。様々な要因が絡み合い、中小企業はハッキリと将来を見通しづらい苦境にある。この状況打開に大きな視点で切り込むのが、ビズリーチだ。同社南壮一郎社長は力説する。「とにかくもったいない。黒字でも廃業せざる得ないという状況は放置できない社会課題。価値ある事業を未来につなげるための選択肢を増やすために、他社への事業継承をその一つとするプラットフォームを提供する」。

オンライン事業承継M&Aプラットフォームが誕生

そのプラットフォームが、同社の新サービス「ビズリーチ サクシード」。事業を譲渡したい企業と譲り受けたい企業をつなぐ、事業承継のマッチングプラットフォームだ。そのビジネスモデルは、同社・ビズリーチのダイレクトリクルーティングプラットフォームとほぼ同じ。譲渡したい企業が自社情報を掲載し、譲り受けたい企業は気になる企業にメッセージを送り、交渉を開始する。仲介社を通さず、直接やり取りできるのが最大の特長だ。

左から富士市産業支援センターf-Bizセンター長・小出宗昭氏、南社長、三井住友銀行プライベート・アドバイザリー本部長・佐藤耕司氏

発生する費用は、譲渡したい企業は完全無料。譲り受ける企業は、成約時のみ成功報酬を支払う仕組みで、双方の負担が最小限に抑えられている。登録には、譲渡企業・譲り受け企業双方に審査があり、譲渡企業にはM&A仲介会社や金融機関などがアドバイザーとしてサポート体制を敷く。ナーバスな事案だけに、安心して利用できる仕組みづくりには細心の注意が払われている。

人口減少という日本を覆う暗い影がもたらす国力の減退。抜本策の人口増大が見込みづらい状況の中、あちこちで軋みが出始めている。一方で、その改善のためのダイナミックな動きも起き始めている。ビズリーチサクシードもそのひとつといえる。それらの先にあるのは、旧来のやり方ではアンマッチとなった、変質した社会・産業構造への最適化だ。官民の尽力でそのための選択肢は着実に増大しつつある。さらにその先にあるのは、ビジネスパーソンや経営者個々が、自らの判断で最善の選択肢をチョイスするチカラだ。

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