働き方

会社員のアノ欲が42.5歳で大減退することが判明

投稿日:2017年12月19日 / by

衰えるのは肉体だけでない…ミドル世代のさびしい現実

人生100年時代と会社員寿命の皮肉な相関関係が浮かび上がってきた。生涯現役が現実味を帯びる日本社会。そうした中で、そのコア層といえる40歳から50歳のミドル世代のモチベーションが急落。人生の折り返し点前後に差しかかりながら、ほとんど成長実感を感じられず、出世欲も減退していることが分かった。

右肩上がりの時代なら最も脂がのり、会社の核として存在感を爆発させていたミドル世代。ところが、人口減少の成熟時代に突入し、働き方やビジネスモデルの転換が求められる時代へシフト。従来の成功法則は事実上リセットされ、ミドル世代は袋小路に入り込んでしまっている…。

パーソル総合研究所調べ

パーソルがビジネスパーソン1万人を対象に実施した調査では、出世欲について、「出世したいと思わない」が、「出世したい」を上回るのが42.5歳と判明。キャリアの終わりについても、「意識している」が「意識していない」を上回るのが、45.5歳だった。かつて最も働き盛りと思われた45歳前後。その世代がいま、会社員としての“晩年”となり、下山を意識し始めている--。時代の過渡期とはいえ、あまりに痛々しい現実だ。

なぜそんな心理状態になっているのか。成長実感に関する調査からそのヒントがうかがえる。成長志向についてはミドル世代も他世代同様に持っている。ところが、「成長実感」となると40代から50代で大きく減少。なりたいのになれないもどかしさが年齢とともに増すことで、次第にモチベーションが低下。ついには終わりを意識し始めることにつながっているようだ。

単純に考えれば、昇進レースの終盤戦が待ち構えるミドル世代。そこで椅子取りゲームに敗れ、職場での地位や権力の獲得に失敗し、やりたい仕事をできなくなったり、部下に抜かれ、居場所がなくなるなどの現実に直面し、成長志向だけが独り歩きする。そんな構図の中で、意気消沈し、目指していたキャリアのゴールでなく、終焉を意識するのだとしたらあまりにも寂し過ぎる。

ミドル受難と対照的に厚遇が確約されている新卒

ミドル受難の時代を加速するのが、新卒の採用意欲の高まりだ。人手不足が続く中、企業は新卒採用を2019年度も増やす意向であることがリクルートワークス研究所の調査で判明。15.8%の企業が、新卒採用を増やす予定という。さらに42.5%の企業が、初任給アップを実施予定と回答し、厚遇での新卒迎え入れを決めている。

リクルートワークス研究所調べ

人口減少の影響で人手不足が深刻な若者は厚遇で、人余り時代に採用したミドルは冷遇。まさに働き方がシフトのさ中にあって、その明暗がハッキリと分かれている。企業側は、採りづらい新卒対策の一環で、外国籍学生の採用にも積極的で、20.9%の企業が採用を実施、もしくは予定している。とにかく若者が必要で、ミドルはお荷物。まるでそんなことを採用戦略で示しているようだが、もとはといえば歪な人口動態が背景にあるのだから無理もない側面はある。

働き方改革真っ只中の日本。改革には痛みを伴うものだが、その犠牲者が“ミドル”だとすれば、あまりに不憫だ。だが、見方によっては、いやでも変革を意識せざるを得ないポジションと考えれば、少しは未来も明るくなるだろう。人生100年時代の文脈では、まだ折り返し点手前のミドル層。最初から不安定な若者と違い、ここまでは安定を謳歌できた幸運もある。人生後半戦は、冒険をしながら、従来の常識をぶち壊し、それこそ人生100年時代のロールモデルを切り拓く。そもそも生涯安定など幻想。そう現実を受け入れ、ここまで積み上げた経験をフル活用し、その存在感を示して欲しいものだが…。

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