働き方

経験を積むことで得られるモノと失うモノ

投稿日:2018年6月18日 / by

変人・安田の境目コラム

失うモノがない強さ

若い時は、続けることが苦手でした。勉強も、スポーツも、続かない。すぐ飽きる、すぐサボる、すぐ逃げる。それが30代までの私。その代わりと言っては何ですが、好奇心と冒険心は旺盛でした。1人でアメリカに渡った時も、25歳で会社を作った時も、不安など微塵もありませんでした。

失うものが何もなかった。それが正直なところです。資格も、学歴も、財産も、何ひとつ持っていなかったのです。持たないものは強い。そして、知らないものは強い。それが私の実感です。無いものは失えないし、知らないことは怖がりようがないのです。

40歳を過ぎた辺りから、私は少しずつ継続力を身につけました。大人になったとも言えますし、コツをつかんだとも言えます。でも一番は、勇気だと思います。例えばツイッターや、ポッドキャスト。何年やっても、大した変化は起きない。目に見える成果がもたらされない。

経験が与えてくれる心から信じる力

こんな事をやっていて、果たして意味などあるのだろうか…。そういう不安を抑え込む勇気。それは経験がもたらしてくれるもの。この道は間違っていない、という確信。人は必ず死ぬとか。嵐はいずれ過ぎ去るとか。夜明けの来ない夜はないとか。

まあ、当たり前の事ばかりですが、それを心から信じられる力。経験は人に勇気を与えてくれます。でも同時に、別の勇気を奪っていきます。大人になるとは、解るという事。解ることによって、小さな努力が信じられるようになる。そして同時に、根拠のない冒険を信じられなくなるのです。

何も知らない。何も分からない。何も感じない。あの鈍感な頃がとても懐かしい。今の私は、解る(わかる)人。何が無駄で、何が無駄ではないか。何が成功で、何が失敗か。本当に大事なものは、何なのか。それが解る、大人になった私。根拠のない冒険が、もう出来ない私。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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