働き方

いいアイデアをビジネスモデルに昇華するために必要な心得

投稿日:2018年7月30日 / by

変人・安田の境目コラム

アイデアは単なる着眼点

私のところにはアイデアを求める人がたくさんやって来る。そして私はアイデアを出す人だと自認している。だから求められればアイデアを出す。だが金銭は受け取らない。アイデアを出す代わりに食事を奢ってもらう、お土産を持ってきてもらう、というサービスをやっている。それは洒落であってビジネスではない。アイデアを出すことは仕事の一環であるが、アイデアそのものには商品的価値がないと思っているからである。

アイデアとは単なる着眼点に過ぎない。言うなれば「ここに目を付ければ面白い」というアドバイスだ。もちろん、アドバイスによってビジネスが根底から変わることもある。だがそれは、アドバイスをビジネスモデルにまで昇華させた人の成果なのである。

アイデアをビジネスモデルに昇華させる。これはなかなか大変な作業であり、かなりの時間を要する労働でもある。私がこの作業を行う場合には、金銭としての報酬を頂いている。それは単なる思い付きではない、時間と労力を要する知的生産労働だからだ。

だがアイデアは違う。アイデアは単なる思い付きに過ぎない。だから、いくらでも無償で提供する。受け取る側がどれだけ儲けようが、後で見返りを要求したりもしない。アイデア出しはスキルアップの一環でもあり、私にとっての日常のようなものだ。

アイデアを求めるときの流儀

ただし、アイデアを求める時にはそれなりの流儀があることを理解しておいて欲しい。アイデアを得る為に必要なもの。それは返礼や感謝ではなく、アイデアの元になるアイデアである。

どんな仕事をすればいいのか。どういう物が売れるのか。どうやったら儲かるのか。残念ながら、こういう質問には答えようがない。何故なら、そこにはアイデアの元になるアイデアが無いからである。

アイデアとは、現状のアイデアに変化を加える行為である。元になるアイデアがなければ、そこには変化を加えようがない。「こういうやり方で、この商品を売ろうと思っている」という元のアイデアがあれば「だったら、こういう商品もありだよね。こういう売り方も考えられるね」という変化を加えることが出来る。

「私はここまで考えた。その次の一手にアイデアが欲しい」。これは流儀に適った正しいアイデアの求め方。「私は全く何も考えていない。こんな私にアドバイスが欲しい」。それは流儀に反したアイデアの求め方。そんな質問に答えられるのは占い師だけである。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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