働き方

会社はどうやって死んでいくのか

投稿日:2018年11月12日 / by

変人・安田の境目コラム

経験則から言える会社の“死に方”

私はまだ死んだ事がありません。でも会社を潰したことはあります。すなわち会社が死ぬ瞬間を、そしてその過程を、見てきたという事。たぶん人間も同じだと思うのですが、会社って突然死んだりしないのです。ゆっくり、じわじわと、死んでいく。そういうものなのです。

もちろん人間と同じで、死ぬ瞬間は一瞬です。人間であれば脳が停止する時。会社であれば登記が抹消される時。完全なる100%の死。それは一瞬の出来事です。死んだ事はありませんが、たぶん人生も同じだと思います。

その瞬間、つまり死ぬ瞬間は、別に苦しくも何ともない。辛いのはそこに行き着く過程。即ち、じっくり死んでいくプロセスです。死は突然やってこない。人も会社も、少しずつ死んでいく。それは私が経験則から得た答え。私も、皆さんも、私の会社も、皆さんの会社も、実は少しずつ死んでいるのです。

5%くらい死んでいる実感とは

人間としての死を感じ始めたのは、48歳の時です。50歳になってそれは確信へと変わりました。現在53歳になった私は、5%くらい死んでいる実感があります。体の一部が無くなったとか、内臓や手足が動かなくなったとか、そういう訳ではありません。傷が綺麗に治らなくなったり、理由もなくどこかが痛くなったり、どんなに寝ても時間が経っても、小さな事が忘れられなくなったり、完全なる記憶喪失が部分的に発生したり…。

気にし過ぎだという人もいます。でもそれは違います。私たちは確実に、日々少しずつ、死んで行っているのです。多くの人はただ鈍感なだけ。あるいは見ないようにしているだけ。

私は会社が死んでいくプロセスに、きちんと目を向けていませんでした。元気元気!と目を逸らしてしまった。だから今回は目を逸らしたくないのです。私はちゃんと生きたいのです。だから死につつある自分を自覚していたい。人も会社も、命を使わずに生きることなど出来ないのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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