働き方

働き方用語の正しい読み方【介護離職】

投稿日:2015年10月16日 / by

【介護離職】

介護離職が問題となる理由

jijii1親の介護により、離職を余儀なくされた人は、年間10万人に及ぶといわれる。晩婚化により、子育てと介護が同時に来る人もいるというから事態は深刻だ。人の面倒をみる離職でも、介護には育児による離職とは決定的な違いがある。離職期間の見通しだ。

子育て離職は、保育園の問題があるものの、子供の成長に合わせ、スケジュールを明確に組める。一方の介護離職においては、全く先が見通せない。半年なのか、あるいは5年なのか…。これは、企業の労働力確保という観点からみても、非常に厳しい。なにより、当人の心労を考えれば、職場復帰を考えるような余裕さえないのが実情だろう。

そうした中で安倍政権が打ち出した「一億総活躍時代」というフレーズ。それに伴う、「介護離職ゼロ」は、頼もしい方向性といえるだろう。1億総活躍時代というからには、誰もが平等に働き続けられる環境が求められる。ある人は子育て、ある人は介護で離職を余儀なくされるなどということはあってはならない。そんな意思表示にも感じられる力強いメッセージだ。

介護離職ゼロの現実味

しかし、である。介護離職ゼロを実現することを想像するのは、非常に現実離れしているように感じる。決して気のせいではないだろう…。これからどんどん増える要介護老人。現状でも施設も人も足りないのに、どうやってそれを解消するのか。施設は強引に増やせたとしてもそこで働くスタッフも必要になる。それも「活躍する人」にカウントされているのかもしれないが、都合よく働き手がわんさか集まるのか…。

そもそも、親を介護するような年齢になってまで働き続けなければいけないものなのか…という疑問も残る。本来なら、リタイアして、じっくりと介護できる環境が理想だろう。生活費を稼ぐために働き続け、介護もするとなると、なんともおかしな話だ。管理職世代が離職となれば企業にとっても損失は大きい。未曽有の高齢社会に突入する日本が直面する危機は、想像以上に深刻だ。

「一億総活躍時代」というフレーズは「国民よ一人残らず力を振り絞ってくれ!」と聞こえてしまう。「介護離職ゼロ」という人参は、そう考えると、とてもうまそうに見えるが実はまずく中身もスカスカ、そんな風にも思えてしまう…。まだ誰も直面したことがない、超高齢社会。そこには、介護から開放され、バリバリ働く管理職の姿よりも、なぜかベッドのそばにいるロボットや外国人の影がチラついてみえる…。

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