並みのスキルを“一生食える”に変えるマル秘ノウハウ
一生食える「強み」のつくり方
(堀場英雄:日本実業出版社)
「仕事の上でアナタの強みはなんですか?」。そう聞かれたら何と答えますか。ズバッと回答できる人はピラミッドの頂上付近にいること間違いないでしょう。「う~ん、○○かな」という人は中の上、「特にない」という人は、並み以下ですね。「そんな単純なものじゃないだろう」。その通りです。でも、ビジネスパーソンにとって、これからの社会で“強み”はこれまで以上に必要になり、価値が上がることは間違いありません。
上司のいうことを聞いて、しっかり仕事をこなし、時にゴマをすっていれば将来はそれなりに安泰だった時代が懐かしいものです。いまはゴマをする上司がいないことも珍しくないほど、企業組織の変質が進んでいます。
活躍するには「忠誠心」でなく、「なにができるか」。つまりスキルが求められます。それが“強み”といえるほどであれば、なおよしです。なぜなら、そうした人材でなければ、平均寿命30年ともいわれる会社に対し、しっかりと利益をもたらす成果を出しづらくなってきているからです。
これまで平穏にやり過ごしてきたビジネスパーソンにとっては、なんとも厳しい時代です。しかし、落ち込む必要ありません。なぜなら並みのスキルでも、ちょっとひと工夫で並み以上に光らせることが可能だからです。もっとも、そのためには、条件があります。プラスαのプチスキルを身につけることです。並みのスキルにプチスキルを掛け合わせる。それによって、パワーを一気に増加させるのです。
プチスキルの掛け合わせで並みのスキルをレア化
同書ではそのノウハウを詳細に解説しています。自分の強みを明確にする方法、プチスキルの選び方、プチスキルの学び方…など、働きながら強みを磨く方法をしっかりと教えてくれています。共感できるのは、自身がそれを実践し、成功しているものの、あくまでも会社勤めをしながらであり、独立という選択をしていない点です。
こうした著作は、ともすれば退職を勧めがちですが、やはり会社勤めのメリットもあります。そうしたところはしっかり享受しながら、というところが現実的でもあり、好感が持てます。
経理畑一本でやってきた人が英語を学ぶ、財務に強い人が企画を勉強する、デザイナーがライティングを勉強する…そうしたことで、その人材価値は一気に跳ね上がります。
同書によれば、プチスキルは、2年半(2500時間)ほどで習得できるそうです。もちろん、その間は結構ハードなスケジュールになります。それでも、本格的なスキル習得には10年(1万時間)かかるといわれることを考えれば、十分に可能といえるでしょう。「自分には強みがない」。そうした負い目によって、何となく不安な日々を送っているなら、すぐにでも同書を参考に、習得するプチスキルを決め、一生食える(かもしれない)強みを磨き上げることをおススメします。