働き方

副業・兼業容認企業2割弱という調査結果から何がみえるのか

投稿日:2017年2月14日 / by

アントレが「兼業・副業に対する企業の意識調査」を実施

複業時代到来は幻想なのか…。リクルートキャリアが実施した独立・開業サポートサービス「アントレ」による「兼業・副業に対する企業の意識調査」によると、容認・推進企業は、全体の22.9%だった。その数字はともかく、そこから透けてみえるのは、副業・兼業への厳しいスタンスだ。

リクルートキャリア調べ

兼業・副業を容認する理由のトップは「特に禁止する理由がない」が68.7%で断トツ。2位の「従業員の収入増につながる」(26.7%)を大きく引き離した。3位は「人材育成・本人のスキル向上につながる」(5%)、4位「定着率の向上、継続雇用につながる」(3.8%)と、昨今の“副(複)業容認”の流れに沿う理由だが、寂しい数字となった。

一方で、禁止する理由については、「社員の長時間労働・過重労働を助長する」が過半数を超える55.7%でトップ。2位の「情報漏えいリスク」(24.4%)に倍以上の水をあけた。企業にとっては、現状の業務状況でも目一杯の中、社員が副業する余裕などないだろう、というスタンスがにじみ出た結果といえる。

なぜ企業は副業にシビアなのか

このことを裏付ける調査結果として、兼業・副業容認企業から「社員に要求する条件は?」に対し、「本業に支障がでない」が60.3%となっている。一方、禁止企業は今後についても約8割が「検討していない」と回答している。さらに、他社でも働き、自社で兼業・副業として受け入れるかについても「受け入れておらず、今後も検討しない」が62.2%。すでに受け入れている(23.4%)将来検討したい(7.1%)を大きく上回った。

リクルートキャリア調べ

調査結果全体から透けてみえるのは、副業に対する企業のシビアでドライなスタンスだ。プラスの側面を考慮しての容認意向がなければ、将来的な容認も考えていない。ある意味では、企業の現状をあからさまに示しているともいえるが、それにしても昨今の副業解禁の流れに逆行するような結果だ。政府のから騒ぎなのか、一部企業だけの動きに過ぎないのか…。

謎を解くカギは、調査企業の企業規模にありそうだ。集計対象1147社の内、74.3%が10人~49人の企業規模。50人~99人は13%で、実に100人以下の企業が、9割弱。これでは、仮に副業を容認するとしても、社員の過重労働が気になるのも無理はない。

もっとも、規模が小さくとも、優秀な人材の確保は必須だ。副業容認だけが、ニンジンにはならないが、企業は業務に忙殺される要因を特定し、場合によってはビジネスモデルを転換する決断を迫られるかもしれない。この結果を、中小企業の暗たんたる未来としないためにも、いまから、変革に臨む準備は進めておいた方がいいのかもしれない。

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