働き方

地方の中小が海外進出のために必要な要素とは

投稿日:2016年7月4日 / by

編集部ブログ

さきごろ、都内で海外進出を目指す地方企業を支援する「MORE THAN プロジェク」が開催されました。デザインや技術に優れた日本のモノづくりを支援する経済産業省の補助事業で、全国から選出された12のプロジェクトが一堂に集結しました。

日本での実績をいかに掘り起し、異文化に浸透させるか

日本での実績をいかに掘り起し、異文化に浸透させるか

52件の応募から、厳正な審査をくぐり抜け選ばれたプロジェクトだけに、いずれもスグレモノばかり。日本の技術力を再認識するとともに、それを伝え切る発信力がいかに重要かが分かるイベントでした。

例えば、有田焼窯元「久保田稔製陶所」は独自技術でセラミック製フィルターを開発。世界最大のコーヒー輸入国・アメリカでの販路開拓を目指します。江戸切子を製造する「堀口切子」は、国際的に認知される江戸切子を、和食を最も美しく飾れる器としてブランディング。カットグラス発祥地のロンドンやシンガポールでの展開を図ります。

いずれのプレゼンでも、日本の伝統技術の奥深さを伝えつつ、それを海外向けに機能や設計自体をローカライズするなどで、さらなる付加価値に転換。国内でも再評価されそうなストリーにのせ、鮮やかに紹介していたのが印象的でした。

地方創生の文脈でいえば、高い技術や製品力を持つ企業は少なくありません。しかし、ただつくるだけでは、当然ですが売れません。商品力を発信し、販路を開拓しなければ、宝の持ち腐れです。どうすれば、地方から海外への道が拓けるのでしょうか。

同プロジェクトでアドバイザーを務めるJDNの山崎泰氏は「いいものだけど高い、では当然売れません。重要なのはマーケティングです。現地の状況に合わせ、いかにローカライズできるか。そこはしっかりと認識しておく必要があります」と助言します。過去の事例では、マスに苔を融合させた「マスモス」という製品が、海外でBtoBに展開したことで成功。まさにマーケティング力で販路開拓を実現しています。

プロジェクトのアドバイザーを務めた山崎氏

プロジェクトのアドバイザーを務めた山崎氏

チーム力も重要な要素です。プロジェクトマネージャーとして、播州刃物で海外展開を果たしたシーラカンス食堂の小林新也氏は、成功の要因を「全てを私に任せてもらえたことが成功の要因のひとつですね」と明かしています。古い体質の職人集団を束ねる長が、外部の若者に全権委任したことで見事な化学反応が起こり、好循環が生まれたのです。現状では状況が厳しいのだから、なにかを変える。そうした意識を持って取り組まなければ、当然ながら現状打破にはつながりません。

同プロジェクトをみていると、まさに企業におけるあらゆるプロジェクトの成功法則に通じる部分が多くあります。現状認識、ローカライズ(改善)、付加価値、意識改革…。企業が低迷を打開する上で必要なキーワードがすべて詰まっています。同プロジェクトに関連し、さらに加えるならば、外部(プロジェクトマネージャー)との積極的連携も重要といえます。そしてなにより、こうしたイベントに参加するなど、アクションを起こすことが成功への第一歩であることは言うまでもありません。

(ノリスケ)

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