
1人からでもできる職場を磨き、組織を活性化させる3つのステップ
経営者だけが働き方改革の主導者じゃない
「働き方改革」という言葉がようやく浸透しつつあります。その言葉だけをみれば、やや大ごとのようですが、個人レベルから取り組むことも可能です。重要なのは初めの一歩。経営層が動かなくとも、道は拓けます。
1:小さな課題をあぶり出し、シンプルに解決プランを実行する
職場には大小の課題が溢れています。小さな課題でも、実は大きな問題のタネになっていることも少なくありません。例えばコミュニケーション不足。不仲ということでなく、単にきっかけがないことが原因だとすればどうでしょう。定期的にランチ会を開催するだけで、問題は簡単に解決します。上司の許可を取る必要はあるでしょうが、反対するマネージャーはいないでしょう。
現場レベルで感じる全体のスキルが不足。そうした場合、能力のある人材が講師となり、勉強会を開催する。そうすることで、社員は最小コストでスキルを学べ、講師役の人材もさらなるステップアップへつながります。いたってシンプルな課題解決への動きですが、重要なのは実行することです。動いてみることで、予想外の反発を受けたり、予想以上のうねりが起こるなど、課題の本質がみるみる浮き上がってきます。
2:実績をベースに社員を巻き込んだ動きに発展させる
個人レベルで小さな課題を解決できれば、その実績をフィードバックし、さらなる課題解決にチャレンジです。もうその時点では、賛同者もでているでしょうから、迷まず巻き込み、うねりをおこしましょう。
巻き込む際のポイントは業務との兼ね合いです。方向性に共鳴してくれても部署をまたぐ場合には、業務時間や量に違いがあります。この辺りは慎重に摺合せ、出来る限り業務時間と切り離しましょう。もちろん、共鳴者の各上長への根回しは抜かりなく行う必要があります。こうした行動は、例えば硬直した社風なら、もはや“改革”レベルですが、ここをクリアできれば、職場磨きは大きく前進します。
昨今は、働き方改革実行委員なるものを創設し、社内の改革に取り組む企業も出始めていますが、トップダウンでは、どうしてもやらされ感が拭えません。大事なのは現場発信の初めの一歩です。
3:活動を外部に公開する
初めの一歩を踏み出し、職場改善のカタチがみえてくれば、自ずと職場は活性化し始めます。ただし、活動が継続され、認知されなければ、すぐに停滞します。この辺りは、トップ発信でないアクションの弱点といえるかもしれません。もっとも、昨今の働き方改革推進の潮流は、確実に追い風となります。利用しない手はありません。
もっともシンプルで有効なのは、昨今増殖しているさまざま働き方関連の表彰イベントへのエントリーです。考えられるメリットは、(1)応募することで社員に広く知れ渡る(2)応募することで改善プランを俯瞰し、見直せる(3)表彰されればさらに賛同者が増える。さらに(4)入社希望者が増加する、など様々です。
「グッド・アクション2016」(主催=リクルートキャリア)で表彰されたバスクリン銭湯部。これはまさに一人の社員から始まった取り組みですが、受賞後には、同部主催の勉強会への参加者1.7倍になったそうです。さらに知らない人がその存在を広めてくれるなど、その輪がどんどん広がっているといいます。こうなれば、職場の改善は、その役割を超え、さまざまな副産物も生むようになるはずです。
かつてなら、こうした職場改善に関する活動は会社の利益とは直接関係なく、冷ややかな目でみられがちでした。しかし、昨今は、労働人口の減少もあり、そこで働くヒトの重要性にフォーカスが当たり始めています。経営層でもコントロール可能な領域ですが、ことがことだけに現場発信の方がより効果的であることはいうまでもありません。だからこそいまは、個人でもアクションを起こすことを躊躇する必要ないのです。