
あなたは会社の飼い犬であることを受け入れられますか
社員は会社の社畜であるべき
さきごろ開催された2018年のグッドアクション。例年は、後編は懇親会をして終了でしたが、今回は、ワークショップが開催されました。内容はディベートで、テーマは「社員は会社の飼い犬であるべきだ」。なんとも刺激的ですね。
ところで、ディベートのルールをご存知ですか。反対派と肯定派に分かれて議論するというのはなんとなく分かると思います。実はこの分類、当日、その場で行われるのです。つまり、自分の主義主張とは別に、どちらかの立場になり切って、意見をぶつけ合うのです。
その理由は、より客観的にテーマを掘り下げることで、その理解を深めるためとされています。今回、このワークショップを企画したのはグッドアクションの審査員の一人でもある若新雄純氏。職場を活性化する賞で受賞した企業に、こんなテーマで議論させる辺りは、さすが独自路線を追求する気鋭の教授です。
さて、ディベートですが、当日、支持する側とは逆の立場になった人も入り交じる中、時間とともにドンドン白熱。「飼い犬は上司が責任を取ってくれる」、「飼い犬といっても縛られているわけではない」といった肯定派の意見に対し、否定派は「個々の違いこそが進歩につながる」、「買うことは多様性のよさを殺してしまう」などと反論。
社畜であることがいいのか、悪いのか。その結論は?
最終的に結論は出ませんでしたが、もともと社畜を否定していた人が気が付けばそうでもなくなっていたり、その逆になっていたり…。要するに、会社に飼いならされた「社畜であるべき」ということそのものより、自分自身がどう仕事に取り組み、どこへ向かいたいのか。最終的には、そうしたことが大切であることがあぶりだされたように思います。
国会では裁量労働制を巡り論戦が繰り広げられ、結局、与党の凡ミスで、まさかの結末となりましたが、全くディベートになっていませんでした。データが違っていたことは問題外ですが、それにしても働かせ放題になるとかならないとか、そうした低次元のことを議論している場合ではありません。反対する立場だから反対するということでなく、何が問題で、だから裁量労働制はダメなんだ、逆にだから裁量労働が必要なんだ、そうした根拠を明確に提示し合いながら、その必要性を問い質していってほしかったですね。
働き方改革は、福利厚生を良くするとか、労働時間を短くするとか、そうしたことに目がいきがちですが、もちろん本質はそこではありません。今回、若新教授がワークショップで提示した「ディベート」は、簡単に答えが出ないテーマ、それこそ働き方のようなものにしっかりと;自分事として向き合う方法として、非常にマッチしているな、と白熱のディベートをみながら感じました。