
なぜ不正や改ざんが頻発するのか…
言語道断の障碍者雇用水増し問題
中央省庁の障がい者雇用人数水増し問題にはあきれるばかりだ。全体の8割の機関で発覚したとのことで、もはや“国ぐるみ”といっていいだろう。会見した加藤勝信厚労大臣は「今年中に法定雇用率に満たない人数を雇用するよう努力してもらう」と陳謝したそうだが、これもひどい。後で補充すればいいという問題ではないだろう。
民間企業は、法定雇用率に未達だとペナルティが課せられる。チェック機能のない行政機関が水増しとなれば、民間企業からの猛反発は必至だろう。水増し分でうまい具合に法定雇用率をクリアしていたことが明らかなところをみても、かなり悪質だ。
行政機関は、働き方改革でも長時間労働を“率先”し、旗振りとは正反対の行動をとっている。モリカケ問題も真相はやぶの中…。こうなってくると、すべてが改竄、不正で帳尻だけがキチンと合わせられていると疑わざるを得ない。公明正大こそが、支持率の健全な指標だとすれば、もはやマイナス域に軽く突入している安倍政権。情報操作で難関突破を続ける先には破綻しかないだろう。
そんな中でさきごろ、人を大切にする経営学会がオリパラへの障がい者施設の参加構想を発表した。2020年東京五輪・パラリンピックで、施設内や施設周辺で障がい者が就労する施設や企業の出店を支援し、障がい者のオリパラへの間接参加をサポートするのが目的だ。
障がい者=ハンデ持ちは完全なる偏見
ボランティアは募集されているが、そうではなく「労働としてしっかり対価をいただくことに価値があり、そうした部分を知ってもらいたい」ということから、あえて出店という形にこだわっているという。障がい者だからということでなく、十分に顧客を満足させる人材としての“間接参加”。本来のパラリンピックの趣旨を考えても、極めて正当な参戦表明といえるだろう。
もっともあくまで現時点では構想段階でしかない。委員会のしがらみや五輪運営規制の中で、はじかれる可能性も高く、先行きは険しいのが現状だ。だが、行政機関が障がい者の雇用を水増ししている国で行われるパラリンピックで、こうしたアクションが軽視されるようでは本当に何の未来もない。学会会長の坂本光司氏は「行政機関が枠をくれないかな」と冗談めかしたが、それくらいしても当然だろう。
不正に改竄まみれの政権が、立派な行いは封印するなら、もはや独裁政権そのものだ。皮肉なものだが、人を大切にする経営学会で評価される企業はこの真逆。くそが付くほど公明正大で、社員とその家族、そして取引先までも大切にする。それゆえに、年に一度の表彰イベントは選出されることが極めて困難な“真のホワイト企業”認定式となっている。
対照的な2つの組織の違いはどこにあるのか。それは組織が外へ向かって幸福を追求しているかうちへ向かっているか。そこに尽きるだろう。どちらがどうかは言うまでもないだろう。