
“夢企業”を目指す会社がニックネームで呼び合うなるほどな理由とは
旧来の会社のイメージと一線を画す様々な仕掛け
ジーブーン(株)
企業と社員の夢を同時に実現するドリーム企業。理想的な会社のカタチに違いないが、そんなことが本当に可能なのか…。ジーブーン(株)後藤稔行社長インタビュー後編では、同社がどんなやり方で、2つの夢を融合させ、企業と社員双方の成長を遂げるのかを、具体的施策をみながら、検証する。
社長にも適用するニックネーム制の意味
「ソラ」、「ラーラ」、「とし」、「ピュアピュアリップス」、「マイスター」…。同社のオフィスでは、変な単語が飛び交っている--というワケではない。いずれも社員のニックネームだ。実は、同社では社員をあだ名で呼ぶことが義務付けられている。その理由を後藤代表が解説する。
「ドリーム企業を標ぼうする弊社は、ただ生活のために働くのではなく、ビジネスを通して自分の夢をかなえることも目標にしています。ニックネームは、単にカジュアルさだけでなく、その名に自分の夢が入っていることが絶対条件。常に夢を忘れないための施策でもあるのです」。
例えば、本名が岩上志穂の「ソラ」さんは、「世界に通じる人となり、国境に関係なく仕事をすることが夢。どんな時も空を見上げることで、元気になれること、そんなパワーの源である空は世界につながっているから、いつまでも自分の夢を忘れないようにつけました」とその命名由来を説明する。ニックネームが「マイスター」の中野禎二氏は、「夢は日本一の夢を実現させるコーチになること。ドイツ語で巨匠といった意味で、専門技術職の最高位であるマイスターにそういう存在になりたい思いを込めています」とその理由を明かす。
名は体を表す。日ごろ口に出すことに加え、常に意識することで、忘れることなく夢へ突き進む。そんな狙いが、ニックネーム制度には込められている。ちなみに、「ピュアピュアリップス」は男性のニックネーム。決してふざけているわけではなく、「心地よさでつながる様な人になりたい」と、しっかり夢につながる思いが込められている。
業務の2部制って一体何?
ニックネーム制度が意識面での夢企業実現への取り組みとすれば、スキルアップ面では、2部制がある。文字通り、業務が2部に分かれる制度だ。一部が各自の担当業務。つまり、メインのお仕事。そして2部が、未来のための勉強会としての他の仕事。例えば、岩上氏は、普段はドリームサポート事業部だが、2部の業務として、広報に携わっている。一般的なジョブローテンションと違い、各自が任意で取り組んでいるため、吸収力に格段の差があり、大きな成果をあげているという。

オフィスの照明は基本シャンデリア
こうした日々の業務の中での小さな部分から夢を意識し、毎月一回、その進捗を報告する会も用意されている。それが夢会だ。そこでは夢の進捗と今後の方向性を仲間に報告。人前で声に出すことにより、夢への意識をさらに高め、仲間からの応援をもらうなどで、自信と安心を実感し、前進の意欲を高める。
実践によるスキルアップを重視する同社の最大のクライマックスといえるのが、年一回の社会人式文化祭。といっても、余興レベルではなく、本格派だ。昨年12月の文化祭では映画館を貸切。そこで、社員が撮影した30分の短編映画を上映し、内容をチーム対抗で競った。映像作成といっても、プロがいるわけでなく、手探りの独学。それでも、かなりのハイクオリティの映像が作成されており、同社の教育システムの有効性が証明されているといえるだろう。
執務室のイメージを覆す非日常があふれる空間づくり

秋葉原のビルの一角にこんなスペースが
ちょっとしたことだが、同社のオフィスは、テーマパークの様な独創的な内装で、夢心地になれることも、間接的に理念を後押しする要素といえる。さらに、役職もエンペラー、キャプテン、キング、クイーン、ナイト、ソルジャー…などとなっており、もはや旧来の会社をイメージさせる余地がないといっていい。企業と社員の夢の共有というある意味無謀ともいえる難題にトコトン本気で取り組む同社。なぜそこまで徹底するのか。
「ビジネスを通して夢を叶えるのが当社の企業理念。これを他の会社にも広げていきたいんです。そのためには我々自身がサンプルとしてしっかりと実績を残さなければならない。だから、その夢へ向かって妥協なく向き合っているのです。まだ三合目ですけどね」と後藤代表。ブラック企業が、私腹を肥やし社員をすり減らすナイトメアな企業だとすれば、ドリーム企業は、企業も社員の夢も実現するハッピー企業--。そんな次世代にふさわしい、新しい企業像を構築する夢が、同社にとって、多くの経営者が目を背けてきた難題にもくじけない原動力となっているに違いない。
前編→ 会社の夢と社員の夢が融合する「ドリーム企業」とはなんなのか
【会社概要】
社名:ジー・ブーン株式会社
代表取締役:後藤稔行(ごとうとしゆき)
設立:2006年7月7日
資本金:4,180万円
本社所在地:東京都千代田区神田須田町2-19
野村第3ビル 6F
事業内容:ITアウトソース事業、海外事業(THAILAND)、レンタルスペース事業