企業風土

あの怪物フードイベント「肉フェス」を社食で開催するヤフーの狙いとは

投稿日:2017年2月9日 / by 瓦版編集部

社食の常識を打破するヤフーのチャレンジの先になにを見据えるのか

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社員食堂が減少傾向にある中、ヤフー(株)の社食『BASE11』が、異色の輝きを放っている。オフィス移転に伴い、2016年10月に新装オープン以降、利用者が毎月増加。2017年2月8日、9日には、累計420万人超えを果たしたモンスターイベント「肉フェス」とのコラボレーションを開催した。福利厚生の域を超越する意欲的な取り組みで、社食の在り方を追求する同社の狙いに迫った--。

社食で実現した人気フードイベント

社食の提供が始まる11時になると、いつの間にか「肉フェス」コーナーに列ができ始める。社員のお目当ては「肉フェス」の一環で提供される、極上肉のランチだ。2日間限定で特別提供されたのは、「北海旭高砂牛のステーキ」、「名物!! 飲めるハンバーグ」、「豪華A4/A5佐賀牛の肩ロース焼き肉」の3品。価格はそれぞれ、1280円、1480円、1980円。社食としてはかなりの高値だ。

ランチには早い11時にこの列。さすがの集客力だ

ランチには早い11時にこの列。さすがの集客力だ

それでも、本家「肉フェス」では長蛇の列ができる極上肉を社食でほぼ並ばずにありつける魅力は大きく、香ばしい肉の香りに引き寄せられるように早い時間から社員が動き始めた。想定以上の展開に肉フェス関係者も「これだと本イベントと変わらないかも」と思わずこぼしたほどだ。

 社食で「肉フェス」を開催した狙いとは

うらやましい限りの特別メニューだが、一方で、社員の健康が心配になる。昨今は、健康経営を掲げ、社食にヘルシーメニューを揃える企業も増えている。宅配型で健康メニューに特化した社食サービスも拡大している。少なくとも、「肉フェス」はそうした動きに逆行するようにもみえるが、同社の狙いはどこにあるのか。

「社食というと安いですが、必ずしもおいしいとはいえない。選択肢も少ない。そうではなく、我々は美味しさにこだわりたい。だから、幅はありますが、それなりに高価なものもある。もちろん、ヘルシーメニューもご用意していますし、カロリー表示などもしています。目指しているのは、Yahoo!JAPANが掲げる、情報技術を使って人や社会のさまざまな問題を解決し、日本をアップデートしていく『UPDATEJAPAN』のビジョンを引き継ぎ、社食の概念を打破する『UPDATE社員食堂』。肉フェスは、その体現企画のひとつで、ビジョンを感じてもらうことが目的です」と同社コーポレートコミュニケーション本部BASE&CAMPチームリーダーの沼田瑞木氏は説明する。

名物、飲めるハンバーグ。社食をこれを食べられるのは優越感?!

肉フェス名物、飲めるハンバーグ。社食をこれを食べられるのは優越感?!

食は人間のエネルギー源。体をつくる源でもあり、健康も左右する。だからといって、美味しくないものを食べるのはおかしい。そうした常識への疑念をベースに、「BASE11」は運営されている。だから、委託業者の選定でも味を重視。量より質、コストより美味しさにこだわり、安さだけでない、食材にこだわるがゆえの高額でも「うまい」メニューを提供する。

 社食での開催を実施した「肉フェス」側の思惑とは

「肉フェス」を引き寄せたのは、こうした同社の社食における「おいしさ」へのこだわりだ。肉フェスを主催するAATJ(株)マーケティング本部の泉谷政達氏は、今回のコラボ企画について、次のように語る。

「野外イベントを中心に、多くの方に楽しんでいただいている『肉フェス』ですが、さらなる事業展開として、社食事業へも進出します。今回のヤフーさんを皮切りに、これまで培ったノウハウとブランド力で、肉フェスに縁がなかった人や30代、40代の忙しいビジネスパーソンの方に並ばずに『肉フェス』をお楽しみいただき、ミッションである肉食文化を一層広めていきたい」。美味しさにこだわる「BASE11」と新規ユーザーを増やしたい肉フェス側の思惑が見事に一致し、実現した企画というワケだ。

肉フェスの社食展開は、まだ見ぬ美牛を広める狙いもある

肉フェスの社食展開は、まだ見ぬ美牛を広める狙いもある

胃袋の満足だけでなく、業績の向上にも貢献

新たな社食像の構築を目指す、『BASE11』。その目的は、うまい食事で社員の胃袋を満たすだけに留まらない。業務ともリンクすることで、社員のモチベーションアップにもさりげなく貢献する。

分かりやすい事例は、業績に応じたTポイントの付与。前四半期の全社利益目標を達成すれば、社員食堂で食べたメニューの30%(2017年2月時点)のTポイントが付与される。貯めたTポイントは、Yahoo!ショッピングで買い物するなど、利用できるさまざまな提携先で利用でき、自ずと「来期も頑張ろう」とモチベーションもアップするだろう。

11階のフロア全体が食堂スペースとなっているが、フリーアドレスの同社では、仕事場も兼ねる。5種類のコンセプトにゾーニングされた空間はそれぞれムードが異なり、気分に合わせて使えば、効率アップに貢献してくれそうだ。床下には電源が数多く設置されており、開放的な空間は、業務スペースとしての魅力も十分。ともすれば、ランチタイム以外は閑散としがちな社食だが、「BASE11」にはそんなことはあてはまらない。

未来の社食像を目指すBASE11。ポテンシャルをトコトン追求し、アップデートを続けていく

未来の社食像を目指すBASE11。ポテンシャルをトコトン追求し、アップデートを続けていく

社食、そして職場の在り方を追求する拠点

福利厚生視点で、コスト負担の重さから昨今は撤退する企業も多かった社員食堂。だが、「BASE11」は、社食の持つ潜在力を、常識に捉われない視点や得意のデータ収集などと連動することで、最大限に引き出すことに成功。ビジネスライクに収支や有効性を徹底追求し、間接的に業績向上の後押しにもつなげている。まさに、次世代型の社食へまっしぐらだ。

1日約2,300人の社員が利用する巨大な胃袋「BASE11」。そこでは、企業によるサンプル配布も行われ、ミスタードーナツがバカ売れする。たかが社食どころか、秘めるポテンシャルは無限にある。運営管理を担う沼田氏の頭には、無数のアイディアが詰まっており、今後、「BASE11」はアップデートを繰り返しながら、次々と新しい食堂のカタチ、そして職場の在り方のヒントを発信し続けそうだ。

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