企業風土

改善? 改悪? 働き方改革でつまずかない企業は何が違うのか

投稿日:2017年2月24日 / by

働き方改革で成果を出している企業の取り組み事例

働き方改革の機運が高まっている。急き立てられるように改革に取り組む企業も少ないだろう。だが、例えばブラックに近い働かせ方をしていた企業がいきなり残業ゼロのホワイト企業に変われるはずもない。そもそも、上辺だけの施策でチェンジできるなら、社会はこんなに騒がしくもならないだろう。

とはいえ、働き方改革はもはや、企業が成長する上で必須。旧来型の時間ベースの働き方をズルズルと続けていては、確実に衰退する。そこで、働き方改革を推進する上場企業の3事例から、失敗しないための取り組み方のポイントを抽出。カタチだけの働き方改革もどきで、かえって職場を混乱させないヒントとして公開する。

最もありがちなのが、「なのための働き方改革なの?」という気合空回り型だ。必要性は感じているが、目的が煮詰まっていない。そうした場合に、陥りがちな展開だ。クラウドワークスでは、「ハタカク」として、社内の働き方改革を明文化。リモートワーク、副業自由化、フレックスの3本柱で、改革を推進。急拡大中の組織の自律的な発展を目指している。

会社の方向性が働き改革とリンクしているため、なぜが明確になる

「社内の働き方改革推進で重要なのは、目的の浸透と事前調査。そして改善」と話す佐々木翔平CFO。基本的なことではあるが、同社のビジョンが、個の力を最大限活性化し、社会の発展と個人のお幸せに貢献するという「働き方革命」であり、社員もブレることなく、改革に取り組めている。

立派な制度を導入したものの、不発に終わるケースも珍しくない。ノー残業デーなどはその展開のひとつだ。うまくいかない理由は明白。定時に帰るというルールだけの運用だからだ。そこに具体的な実行プランがなければ、仮に実現はできても、時間になったら帰るだけという生産性もなにもない無意味な取り組みと化してしまう。

実践に落とし込めるところまで煮詰めて初めて機能する各種施策

ショーケース・ティービーでは、図解思考とホワイトボード活用による効率的なコミュニケーションによって生産性向上を実現している。同社COOの永田豊志氏が解説する。「我が社の生産性向上の3種の神器は図解思考、ホワイトボード、スマホ。これらを駆使することでムダを排除し、生産性が向上する」。実は永田氏、13分野に及ぶ知的生産技術の著書がある、知的生産研究家でもある。実践を通じ、その極意を全社員に伝授しているから、着実に成果につながる。創業10年で東証一部上場を果たし、8期連続の最高益は、お見事なエビデンスだ。

オフィスには22.7坪分のホワイトボードがあるという永田氏

メンバーズの新たな働き方へのアプローチは、経営としっかり連動。「頑張れば報われる」という当たり前のことを数字で明確にすることで成果につなげている。プロジェクトは3年計画。目標は平均残業時間50%以上削減、月額固定給25%アップ、年収20%アップ、女性管理職30%。数字で示すことで、モチベーションに働きかけ、かつ、迷わず前進できる状況をつくりだしている。

明確な数字を掲げ、ブレのない改革プランを描くメンバーズ

「残業を減らすことで給与が減る不安を、固定給アップで解消する。そうすることで、目標達成の道筋を明確にした。始まったばかりだが、成果は出ている」と同社常務執行役員の高野明彦氏。実際、わずか半年ながら、平均残業時間は23.5%減り、月額固定給は通期で8%増。業績も上期で過去最高を達成している。

働き方改革というと、あまりにザックリしている。まずやるべきは、あいまいさを明確にし、何のために、何を、どうやるのか。つまり、目的と方向性と実行プランを明確にすることが、成功への最低条件といえる。これらを立案するプロセスでは、自ずと自社の課題が浮き彫りになり、適正なビジョンもあぶり出されるハズだ。そうしたことを見極め、その上で社員個々の力をいかに引き出せるかに落とし込む。それが、働き方改革を空回りさせない重要ポイントといえるだろう。

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