企業風土

残業問題の議論が一転しかねないすぐそこにある“日本の現実”【瓦の目】

投稿日:2017年3月28日 / by

労使間では当面、解決への出口が見えてこない残業問題

残業時間の労使のせめぎ合いは、月100時間未満で決着の方向です。繁忙期を勘案してとはいえ、過労死ラインの80時間突破を容認してしまう動きは、改革の名とは程遠い印象です。ダイエットするのに、その目標を肥満水域を超える値にして意味があるでしょうか。やらないよりまし? それで本当にダイエットを成功できるでしょうか…。

エン・ジャパン調べ

エン・ジャパンは、過重労働について調査を行っています。その結果は過去一年で過労死ラインを超える残業をした企業が40%。業種別では、広告・出版・マスコミ関連が最も多く、64%でした。次いでIT/ネット関連が48%、メーカー45%と続きます。業種による差はありますが、当たり前のように半数近くがデッドラインを超えている事実は、月100時間未満でせめぎ合うしかない実状を浮き彫りにしているようです。

エン・ジャパン調べ

一方で、過重労働防止に取り組んでいるか、という質問に対しては、74%が「はい」と回答しています。野放しというワケではもちろんなく、多くの企業が努力はしているようです。具体的には、「業務フローの見直し」(58%)、「管理職への教育」(52%)、「残業を事前申請させる」(51%)、「正社員を増やす」(24%)、「派遣社員・パートを増やす」(20%)といったものになっています。人を増やすより、業務フローの見直しや社内ルールの整備等での対応を軸にしているようです。

大量に提供するという“常識”をリセットするが重要

これらの結果だけから類推するなら、企業は残業削減に努力しているが、なかなか成果が出ていないということです。確実にいえるのは、業務量と人員。そして業務をこなす人員のスキルのバランスが、不均衡ということです。業務量が多過ぎて人員が足りない。スピードアップできるほど、スキルのある人材がいない…。こうした場合、コストをかける余裕がないなら、業務量を減らすのがベターですが、そうすれば売り上げが減少する。悩ましいところでしょう。

人手不足が深刻な運送業では、業務量を減らし、賃金をアップする動きもあります。飲食業では、24時間営業を見直す動きが広がっています。総体的に労働人員が不足している状況で、サービスが過剰気味なのですから、当然の流れといえるでしょう。

今後は、人口がどんどん減少していきます。サービスは量的な過剰さよりも、質の高さがますます求められるハズです。もしも、そのために残業が増えるとしても、賃金も同時に上がらなければ理にかないません。残業に関わる劣悪な労働環境の是正は、その良し悪しはともかく、企業努力よりも、市場の変化によって拍子抜けするほどあっさりと進展するかもしれません。

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