企業風土

仕事で「もうひと踏ん張り」が重要な理由

投稿日:2017年7月3日 / by

変人・安田の境目コラム

100点と80点の出来の近くて遠い距離

あと一歩へのこだわり。それは私自身の、永遠のテーマでもあります。たとえば私は今、企業の戦略を考える、という仕事をしています。新しい商品価値、新しい販売戦略、新しいマーケット、などを生み出す仕事。

それは小さなアイデアからスタートします。こんな事は出来ないだろうか。こうやったら売れるかもしれない。こういう付加価値は面白いかも…。

アイデアは、種のようなものです。種のままでは、商品にはなりません。戦略をより具体化し、問題点を洗い出し、細部まで仕上げていくのです。たとえばネーミングや、売るための工夫。ある程度の完成度までは、すんなり出来上がります。もちろん、それなりの努力と時間は必要です。でも時間をかければ、必ず出来上がるのです。

その時点で完成度は80点くらい。100点でない商品を売っていいのか!と怒られてしまいそうですが、そもそも戦略には100点満点などないのです。イメージしてみてください。100点のネーミングって何ですか?80点のネーミングと区別がつきますか? それはかなり困難なはずです。

あと一歩踏み込むことで未来は変わる

でも、駄作はすぐに分かります。20~30点のネーミング。料理で言えば、マズい。美味しくない。素人でも作れるレベル。街にはたくさんの外食店があります。中には素人でも作れるような、びっくりする程まずいお店もあるでしょう。そんな店は稀です。ほとんどのお店は美味しい。払った金額程度の価値はある。でも、飛び抜けてはいない。驚きや感動まではもたらしてくれない。

70~75点。それが相場ではないでしょうか。さすがに70点以下だとお客が来ない。でも、90点にするには、コストと手間がかかりすぎる。

戦略立案も同じなのです。70~80点までは持っていかないと、商品にならない。でも、それ以上にする為には、莫大な時間と手間がかかる。そして、手間をかけたからといって、100点にはならない。

80点でも十分にお客さんは納得してくれます。納品するには十分なレベル。90点にするにはとてつもない手間がかかるし、その費用を上乗せするわけにもいかない。でも、その一歩が、大きいのです。あと一歩、踏み込むことで未来は変わる。たった一歩先に、まったく違う世界があるのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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