企業風土

社員が主役の労働環境改善への取り組み

投稿日:2014年1月15日 / by

「社員が主役」の真意とは

nihon-syokken1日本食研ホールディングス株式会社

会社にとって社員は財産。社員にとって働きやすい環境があり、職場が充実することで各々のモチベーションは向上する。そして、それは会社の発展につながる。「社員を大切にしたい」。日本食研ホールディングス(株)は、そんな想いからワークライフバランス推進のため、様々な取り組みを始めた――。

「エンジョイビジネス」に込められた意味

「エンジョイビジネス」。社長交代時の就任のあいさつで、現社長の大沢哲也氏は、そう提唱した。『①社員こそが主役となり、②社会に貢献し、そのなかで社員が自己実現と成長を果たし、③そして心から仕事をエンジョイする。このような仕事と企業のあり方、つまり「エンジョイビジネス」こそが我々の目指すもの』。そう確信していたからこそのメッセージだった。

社長からのメッセージが発信され、ほどなくして社員が動いた。同社のママさん社員9人だ。彼女らは、子供を産んでからの継続勤務やキャリア形成の難しさに疑問を感じていた。「もっと女性の声に耳を傾けて欲しい」、「誰もが働き続けられる環境を作ってほしい」と、経営幹部に直接プレゼンした。

そのプレゼンは、会社を動かした。単なる意識改善レベルにとどまらず、女性活躍促進や長時間労働の常態化改善が経営戦略として掲げられ、専任を置いて取り組むことになったのだ。活動内容は、社員のワークライフバランス実現のサポート。「エンジョイビジネス」だけにとどまらず、「エンジョイライフ」も目指そうというものだ。

専門部署による社員による社員のための環境改善

具体的には、労働時間の適正化、有給休暇の取得促進、女性の活躍促進、育児・介護との両立支援などだ。トップメッセージにこめられた、「社員こそが主役となり」、「自己実現と成長を果たし」、「心から仕事をエンジョイする」を具現化する、社員による社員のための環境改善だ。

もっとも、同社はグループ会社を含め全国に250ヵ所に事業所があり、従業員数が3,770名という大所帯。専門の部署といっても、愛媛本社の専任スタッフは3人。もともとの風土もあり、その周知徹底は並大抵ではない。

それでも、専任スタッフが自ら現地へ出向いたり、研修を開催したり、社員が愛媛へ来たときに時間をとるなど、出来る限り直接話すことを心がけ、ワークライフバランスの充実のためのアクションを促進。直接では不十分な部分は、社内イントラやメールの定期配信で活用事例等を随時発信するなどし、社員がワークライフバランスへの取り組みをより身近に感じられる風土づくりに全力で取り組んでいる。

少しずつ出始めている成果

「スタートから2年はハード面を整える感じでしたね。4年目の今年からようやくソフト面を活用できるフェーズになってきたのか、徐々にですが成果もみえはじめています。女性営業員の出産後の復職や男性の育児休業取得も出始めています」と人財部ワークライフバランス推進グループ・徳見文香氏は、少しずつ手ごたえを感じている。

もっとも、施策については現場に任せざるを得ないものもあるのが現状で、社員間・拠点間で意識のばらつきが発生している。一律にうまくいっているとは言えない課題はある。それでも、経営トップが経営目標として明示しており、専任スタッフはみじんもぶれることなく、「誰もが誇りを持って働ける会社づくり」にまい進する。

どんな会社にも社風がある。会社の雰囲気である社風は、良ければ当然、社員もイキイキする。悪ければ社員の士気は下がり気味になる。目に見えないだけに、非常に厄介だ。規模が大きくなればなるほど、このムードはがっちりとはびこり、変えづらいものになる。始まったばかりの同社の挑戦は、過渡期にある日本の働き方(働かせ方)の方向性を見極める意味でも、成り行きが注目される取り組みとなりそうだ。


〈2013年度実績〉
・ノー残業デー(18時退社)実施率
【愛媛本社】26.5%(27.0%) 【千葉本社】40.6%(29.9%) 【営業拠点】36.8%(13.6%)
※営業拠点は、ノー残業開始から平均退室時間が41分改善(カッコ内は2011年実績)

・有給休暇取得率→52.1%(36.2%)
※リフレッシュ休暇導入後取得率が大幅アップ(カッコ内は2010年実績)

・育児休業取得者
【女性営業員】4人(2011年2人、2012年2人) 【男性社員】6人(2011年3人、2012年1人)
※男性社員の最長取得日数は10日間。女性社員は子が1歳に達するまでがほとんど。

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