企業風土

“働きマシン”を経てたどり着いた理想の働き方

投稿日:2014年4月24日 / by

粉骨砕身と決別した理想の働き方

akatuki01(株)アカツキ
仕事が楽しくないと人生が楽しくない。ワークライフバランスの重要性が叫ばれる中、仕事そのもののやりがいを重視する考えも徐々に広がりつつある。有名企業でバリバリ活躍した精鋭が集う(株)アカツキ。粉骨砕身の働き方と決別した“素のワーカー”たちが、理想の働き方を追求する同社は、ある意味で時代の必然から生まれたといえる。


いいサービスを生み出す職場環境を重視

入り口で靴を脱ぐと木の廊下がお出迎え

入り口で靴を脱ぐと木の廊下がお出迎え

オフィスへは靴を脱いで上がる。習性で、自宅に帰ったようにフワッと肩の力が抜ける。実際、中は温かいムードが充満する。点在する観葉植物や天然木をふんだんに使った内装がその要因なのかもしれない。だが、なによりも本質の部分からにじみ出る空気に張りつめたものがない。ほどよくリラックスした状態というのが、適切かもしれない。

「弊社は受託や外注はせず、自社サービスの開発にのみ注力しています。従って、開発サービスのクオリティを徹底追求できる環境にあります。逆にいえば、製品力が生命線。ですから、社員がいいサービスを作れる職場環境というものを非常に重視しています」と同社佐竹佑紀氏は説明する。

“働きがい”にこだわる理由とは

オフィス風景

こだわりの職場環境は温かく変なピリピリ感がない

“働く環境を重視する”といっても、意図するのは「働きやすく」することではない。「働きがいのある」環境づくりだ。それはつまり、設備面はもちろんだが、個々の社員が、主体性を持って働ける環境の整備。しっかりとメンタルも伴う、全身に血の通う充実した働き方だ。

受託や外注をせず、自社サービスのみに注力するのもそのひとつ。「受託などの場合ですとどうしても先方の意向を受けることになりますので、ともすれば、やらされ感が出てしまいます。弊社では本当にやりたいことに取り組んでもらうことが、働きがいと考えていますし、それが、社員の幸せにつながると考えています」(佐竹氏)。

特徴的な組織形態が意味すること

主体性を重視する同社を象徴するのが、その組織形態だ。同社には管理職はおらずマネジメントはない。個々に裁量が任され、独自判断で、業務を進めることが許されている。「それなりの大きな判断も含め、各自の裁量任せです。本当に大きなものは代表に相談するケースももちろんあります」と佐竹氏。

なぜこうしたことが実現できるのか。理由は簡単だ。「そういう人材が集まっているからです」と佐竹氏はきっぱり言う。現在、9割が中途という同社社員は、前職がDenAや楽天、アクセンチュアなど、名だたる企業の出身。日本企業の最前線でバリバリと働き、そこと決別し、芽生えた新たな価値観を持った精鋭が集まった集合体が、「アカツキ」なのだ。

圧倒的な規模感の中で働く醍醐味はもちろんある。圧倒的なスピード感で成長する感動もある。破格の報酬を手にする喜びもある。だが、そこにはどうしても人間にとって適度な働き方の物理的限界を超えてしまう代償が伴う。それでもがんばれる人はもちろんいるが、それにしても長距離走は厳しい。

芝生ルーム

ちょっと気分を変えたい時には芝生ルーム

主体性と意識共有

じっくり着実に進む。それによって、本当にやりたいことを見失うことなく、自分のペースで前進する。全員がそうした考えを共有し、そのためにどうすべきか、何をするとダメになるのか、を頭と体で理解している人間が集まっている。だからこそ、同社はブレることなく、我が道を進むことができる。

気になるのは、収支とのバランスだ。理想の追求には、苦痛がない代わりに伸びない売上、という代償が伴いがちだからだ。その点については「確かにその点は無視するわけにはいけません。ですが、個々がやりたいと思ったことをトコトン突き詰めてサービスを開発することが成功につながると信じてやっています。幸い、最初のサービスがヒットして以降、中ヒットが続いており、昨年メガヒットプロダクトも生まれ、第二創業期のフェーズに突入しました」と佐竹氏は明かす。

利益追求型企業を熟知する精鋭が生み出したホワイト企業

利益追求型企業のトップレベルを経験した精鋭が集まり、それをある意味で反面教師につくり上げた同社。ブラック企業が、利益だけを追求し、そこで働く社員を使い捨てにする企業だとするなら、同社は、利益は二の次で働きがいを追求し、できる限り長く働き、人生そのものの充足を果たす。まさに対極にあるホワイト企業といっていいだろう。

右肩上がりの成長が終わり、成熟期に突入した日本。もはや過去のやり方では立ち行かなくなりつつある中、新たな経営スタイルや働き方が模索されている。少子高齢化により、就労期間の延長も不可避となっている。「働きがい」にこだわる同社が示す経営の姿は、超高齢国家日本の次世代の働き方のサンプルとしても大いに参考にできそうである。


フレッシュスムージー◇健康第一
いいサービスを生み出す職場環境は大切だが、何よりも大事なのは社員の健康。体が健康でなければ、いいサービスを生み出すことなどできない。同社では毎月全員がヒーリングカウンセリングを受けるほか、毎朝、野菜を使ったフレッシュスムージーが提供される。その他、毎秋、全員にインフルエンザの予防接種をするなど、社員の健康キープに十分配慮する。

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