企業風土

社名公表でブラック企業は撲滅されるのか【瓦の目】

投稿日:2015年5月15日 / by

悪質ブラック企業の社名公表が決定

社名公表は過労死は減るのか…

社名公表は過労死は減るのか…

厚労省がブラック企業対策強化に「企業名公表」を決定した。対象となるのは、全国に展開する大企業。月に100時間を超える残業が行われ、3か所以上の支店・営業所で是正勧告が行われた場合、その企業名が公表される。社会的影響力の大きな企業を対象とすることで“見せしめ効果”を高める狙いだ。

実際には抜け道も多く、隠ぺいはいくらでも可能だろう。だが、それにしても行政指導の段階での社名公表のインパクトは大きい。まず、もしも実際に行われた場合、当該企業は採用で大変厳しい状況に追い込まれる。うまく隠ぺいしたとしても内部告発された場合、メディア等の格好のさらしネタになる。経営責任が問われる…。

社名公表のインパクト

大企業は、一般的な知名度もある場合が多い。そうなると、製品などへの不買運動へとつながる可能性も否定できない。現に牛丼チェーン「すき家」のゼンショーホールディングスは、ワンオペに象徴される過酷な労働実態が明らかになった影響などで、売り上げを大幅に落とした。居酒屋大手のワタミも同様の状況で、経営的に大きなダメージを受けた。社名公表という“制裁”がなくともそれだけのダメージがある違法な長時間労働。それだけに、その効果は、計り知れないといえる。

問題は、あくまで大企業が対象という点だ。違法な長時間労働のほとんどは中小企業で常態化している。いくら大企業に制裁が課されても中小企業にとっては「我々は長時間働いてもらわないと潰れる」と居直られるだけだろう。そもそも資本力がないワケで、対策の講じようもない。知恵を絞って、残業削減を実現している企業もあるが、実態を考えると厳しいといわざる得ない。

どうすれば、違法な長時間労働を削減できるのかーー。この問題を考えるとき、実は最も重要なことがある。それは、なぜ残業が発生するのかを考えることだ。この事業は本当に必要なのか、あの人員は本当に必要なのか、この業務に本当にこの人数が適正なのか…。そうした事業体としての抜本的な部分を見直した上で、長時間労働に向き合わないと、制裁を逃れるためだけのごまかしやその場しのぎの対策しかできないだろう。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について