企業風土

出社日が“休み”になるうれしい制度のカラクリ

投稿日:2015年3月4日 / by

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限りなく休みに近い日を設定するという“週休3日”

シーエーセールススタッフ

ワークライフバランスの重要性が叫ばれる中、週休3日制を導入する企業も珍しくなくなりつつある。とはいえ、週7日のうち3日も休むとなると、どうしても売り上げ減が頭をよぎる。人材サービスのシーエーセールススタッフでは、週休2日に加え、「自由に勤務できる日」を設け、事実上の週休3日を実現している。その名も「気分で出社」。一体、どんな制度なのか。その実状に迫る――。

なぜこんな制度が誕生したのか

「気分で出社」とは何ともふざけたようなネーミングだ。その日の気分によって出社するか否かを決めるというのか…。その実体は、まさしくネーミング通り、週1回、気分や状況によって、休める制度だ。正確にいうと、出社扱いとして、実際には、フリーでいられる1日となる。ストレートに休みにすればいいところだが、そうでないところが、この制度が機能する大きなポイントとなっている。

「実はこの制度を導入するにあたり、試用期間を設けました。その時は、あらかじめ休む日を決め、それに基づいてスケジュールを組むスタイルでした。対象は成績優秀者です。結果、週休3日自体はしっかり実現したのですが、営業成績はわずかですが落ちてしまいました。そこでいったん白紙となり、改善の上、誕生したのがこの制度になります」と同社広報室の浮田憲秀氏は説明する。

せっかくの週休3日。だが、対象が一部の社員のみだったこともあり、「申し訳ない気持ちがあって休んでいても落ち着かない」、「休み中だが業務が気になってしまう」などの声が続出。リフレッシュしてもらう目的のハズがかえってストレスを溜める結果になってしまった。わずかとはいえ、営業成績も落ちたことから、より意義のある制度とすべく、見直しが図られることになった。

その名も「気分で出社」の実体とは

ca3大きく変わったのは、「休み」ではなく“出社”とした点。これは、トライアル中に実践社員から漏れてきた「申し訳ない」という気持ちを解消するためだ。「出社扱い」だから、もちろん携帯などでの業務連絡は当たり前のように行われる。結果、出社している他の社員にかかる負担も軽減でき、対象者は気兼ねする必要がなくなった。

さらに、対象者の門戸を拡大。一定の成績をクリアすれば誰もが利用できるよう変更した。そのボーダーラインは一律で、クリアすれば若手もベテランも関係なく“週休3日”が実現する。有効期間は、1か月。“特権”をキープし続けるには、毎月ボーダーラインをクリアすることが条件となる。こうやって、対象者の選定が“完全成果主義”となったことで、制度利用者の「申し訳ない」感は、さらに軽減された。

“休み”のとり方も変えた。最初に休みをフィックスするかたちから、いつでも状況に応じ、取得できるよう柔軟性を持たせた。「気分で出社」とネーミングされた由縁だ。これら改善により、同制度は、営業成績の落ち込みをなくし、不公平感も解消され、さらに好きな時に活用できる、会社にとっても社員にとっても理想に近い仕組みへと生まれ変わった。

「トライアルの時から利用者としてこの制度に関わっていますが、前はどうしても他の社員に申し訳ない気持ちが強かったです。私の場合、子どもがいるので5時帰社の時短勤務。特にその思いが強かったですね。でも、新しい制度は、誰もがボーダーをクリアすれば活用できるので、後ろめたさはなくなりました。成績が落ちれば、この恩恵も消滅するので、毎月のいいモチベーションにもなっています」と子育て中のママ社員、小竹知子氏は充実した表情で明かす。

時短でも“週休3日”で結果を出し続ける極意

ca1毎日、午後5時に帰宅。なおかつ週休3日で、しっかりと営業成績もキープする小竹氏。さぞかし、要領がいいのかと思いきや「その逆です」というから驚きだ。「産休明けでこの制度が導入され、はじめの半年は慣れるまで本当に大変でした。でも慣れてからは、いいリズムで働けるようなりましたね」と小竹氏。その極意は、なんのことはない「時間は限られているんです」と一言。常に時間を逆算して仕事をこなし、移動中もムダにせず超効率的な働き方を実現している。いくらでも時間があると思うから、人は無駄にズルズルと残業してしまうということだ。

同制度導入後、同社の営業成績はどうなっているのか。それは、これまでに約60人の社員のうち、3分の一が“活用権”を獲得しているという事実をもって、証明されているといえる。トライアルを経て、しっかりと練り込んだ制度とすることで、見事に経営と社員の働きやすさの両立を実現した同社。それにしてもなぜ、そこまで“週休3日”にこだわるのか。

最終目標は完全週休3日制の導入

「私ども人材サービスの仕事は特にメンタル部分でタフさが必要な側面もあります。そうした中で長く働き続けてもらうには、労働環境をしっかりとケアすることが経営の役割として重要になってくると考えています。しっかりと休んでもらうことも重要な要素。もっとも、今回の『気分で出社』はあくまで通過点。我々としては、この制度は最終的には無条件の完全週休3日制へ移行するためのステップと考えています」と浮田氏。昨今、「時間でなく成果」へのシフトが叫ばれているが、資本主義の中で、いかにすれば売り上げ増と労働環境の改善を実現できるのか…。同社の取り組みには、その大きなヒントが隠されているといえそうだ。


ca0【会社概要】
商号: 株式会社シーエーセールススタッフ
創立: 平成15年4月
所在地: 〒105-0013 東京都港区浜松町1-2-14ユーデン浜松町ビル5F
資本金: 1億円
代表者: 田代 章
従業員数: 60名(平成26年5月末現在)
事業内容: 一般労働者派遣事業 般 13-040737
有料職業紹介事業: 13-ユ-040624
URL:http://www.ca-ss.jp/

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