企業風土

畑違いの部署への異動で息がつまりそうです

投稿日:2015年5月26日 / by

~仕事・働き方のエキスパートがズバリお応えします~

<質問>

「このまま30年この会社にホントにいいのだろうか…」

異動により、全く畑違いの部署に配属となりました。一応受け入れましたが、正直やっていく自信がありません。異動の意図も分かりませんし、再異動も含め、話し合う場が欲しいと思っています。人事の仕組み上、聞いてはくれても、そこ止まりなものなのでしょうか。サラリーマンの宿命なのかもしれませんが、このままでは毎日息がつまりそうです。会社を辞めるつもりはありません。(46歳会社員)
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【回答】

「ちょっと外の空気に触れてみましょう」

質問者のお気持ちは分かります。毎日息がつまりそう、ということではお辛いですよね。実は、日本企業で一般的に行われている人事異動を、奇異に感じる欧米人も多いのです。欧米企業にも人事異動はありますが、日本企業の人事異動のように、人事部や上司が本人に対して事前に相談、打診することなく、また本人に異動の明快な理由も伝えず、一方的な決定のみを通知することはまずありません。

ですが、あなたの要望が聞き入れられるかどうかは、労働契約上の問題がなければ、やはりその会社の風土や人事方針によるのでしょう。人事部が個別の要望に真摯に、丁寧に対応してくれる場合もあります。その一方で、既に発令された人事異動が撤回されることはなく、人事部は異動者の不満を軽減するために話しを聞くだけ、という場合もあります。いずれにせよ、人事異動について異動者と人事部で話し合いをもつ仕組みがあるのであれば、まずはその場を設定するよう人事部に要望してみてはいかがでしょうか。

そしてもうひとつ。質問者が管理職であれば、管理職以上の出世や望ましいキャリアは、社内のさまざまな事情に精通していても、叶えられるわけではありません。外部の視点で社内を眺めたり、自らのキャリア価値を客観視したりする視点が必要になってきます。ですから、息のつまりそうな職場から(気持ちだけでも)離れて、外部のセミナーや活動に参加したり、社内では出会えない人材と交流をもたれたりしてはいかがでしょうか。

そうしながら、自らのキャリアを自主的に描き直す機会をもつことをお勧めします。

キャリアを振り返り、描き直すという見地に立てば、質問者のこれまでのキャリアは対外的にもユニークかもしれませんし、それに異動先のキャリアを組み合わせると、更にユニークさが高まるかもしれません。実際、そうしたユニークさが今、多くの新しいジャンルの仕事、新たな価値を創造する仕事を生んでいます。

ご自分のキャリアを自ら創るという発想から、異動先のキャリアをどう位置づけ、全体的な構想にどう組み込むかという観点もお持ちいただけたらと考えます。


新井健一<回答者プロフィール> 新井健一
1997年4月、大手重機械メーカ入社。人事業務全般に従事。1999年10月、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社。 組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月、経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍中。最近は旺盛な執筆活動も行っており、人事のノウハウをまとめた『日系・外資系一流企業の元人事マンです。じつは入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう』を発売している。

 

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