企業風土

辞めてもいい正社員を募集する企業の真意とは

投稿日:2015年3月12日 / by

お毒 もう疲れたわ。いろいろガマンしてきたけど限界! 別れるわ。

猫田先生 毎春恒例のお別れの儀か。卒業式じゃねぇんだからよ。しかし、今回は随分と仲睦まじい様子だったのに意外だな。

お毒 仮面夫婦だったのよ。どんだけアタシが我慢してきたか…。いくらイケメンだからって、あたしは家政婦じゃないんだからねっ。

毒舌家

編集部ニシ そういうのを仮面夫婦っていうんですね。ちょうどいま、<仮面就職歓迎>って企業があるって聞いて取材を進めてたんですよ。国際自動車(km)なんですけどね(※すでに終了)。将来やりたいことがあって、もしも「とりあえずフリーター」なんて考えるならちょっと待ちなさい、と。フリーターになったが最後、夢どころじゃなくなりますよ。だから、とりあえずでもいいからウチに来なさい、正社員として迎えるから、ということなんです。

へん0お毒 なにそれっ。都合のいい彼女でいいから付き合ってよ、ってこと?。人がいいのか、器が大きいのか、人材集めに苦労してるのか…。

猫田先生 破れかぶれにみえるかもしれんが、戦略としては悪くないんだな。というもの、生涯年収で比較すると、高卒男子で2億4000万円、大卒男子で2億8000万といわれてんだが、フリーターだとわずか6000万円。4分の一以下なんだ。つまり夢のためにバイトで生活費を稼ぐのはいいが、あまりに不安定過ぎて、夢どころじゃなくなる可能性が高いってことなんだな。だから、夢を追うにしてもまずはうちに来なさい、正社員で採用するからってことなんだ。大きな目線で考えれば、双方にとってしっかりメリットがあるんだよ。

ニシ 実際、仮面就職で入社したわけでないですが、同社に入ったある人が、夢を追いながら正社員として働き、巣立っていった事例もあるそうです。その人は非常に優秀で、稼ぎもとても良かったそうです。

猫田先生 つまり、kmとしては、夢を持つ人間はかっこいいし輝いている。だから応援してやろうじゃないか、ということなんだな。もちろん、“仮面就職”だから、辞めるのは自由。会社としては痛手だが、わずかの間でも戦力になってくれれば、それでもいいというわけなんだ。できそうでなかなかできることじゃないよな。

nekodaBupお毒 恋愛だったらとりあえず付き合っちゃえば、自分の魅力で気持ちをこっちへ向かせるってことも考えるけど、就職だもんね。微妙だわ…。

猫田先生 付き合って振り向かせるって発想というより、就職する側にとっちゃ、正社員としてやっていくという経験が非常に重要だろうな。フリーターだとどうしても甘い考えになりがちだが、正社員じゃそうはいかない。同僚には普通に専業でやってる人だっているだろうし、中途半端ではやってられないだろ。万一、kmを辞めることになった時でも正社員経験は転職にも大いに役立つだろうしな。だから、社会全体を考えても、この仮面就職、素晴らしい取り組みといえるんじゃねぇかな。

ニシ 随分と持ち上げますね。でも、おっしゃるようにこうした夢にチャレンジできる土壌が提供されるというのは、若者にとっては本当にいいことだと思います。どこにも行けなくて、でも正社員にこだわってブラック企業に入って夢も希望も失う若者も少なくない中で、こういう就職スタイルが選択肢として出てきたことは希望の光といえるでしょうね。ドライバーというのは人気のある職種ではありませんが、これだってやってみないと分からない部分もありますしね。歪になっている労働市場の最適化につながっていく取り組みともいえるかもしれませんね。

お毒 とりあえずアタシ、きょうから、店で呼ぶ送迎タクシーの会社をkmにスイッチするわ。

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