企業風土

わずか4年で“社風”を劇的改善した会社がしたこと

投稿日:2016年3月11日 / by

エンカレッジアワード最優秀賞の“偉業”

エン・ジャパン(株)が、同社独自の定額制研修サービス、エンカレッジ会員から選定する「エンカレッジアワード」が先ごろ都内で開催された。最優秀賞に輝いたのは、(株)東急レクリエーション。なんと、わずか5年で係長レベルの中堅社員の離職率40%をほぼゼロに劇的改善した。そのポイントはどこにあったのか。

各受賞企業(最前列中央が菅野社長)

各受賞企業(最前列中央が菅野社長)

1946年創業の同社は、典型的な旧来型経営で、トップダウンで全てが決まる風土。自ずと社員は受け身になり、なかなか人も育たない。育てるための人事制度すらない状況だった。やりがいを見いだせない社員は、係長職を前に次々離脱。長らくその数字は4割に達し、組織は危機的な状況にあった。

2012年3月に代表取締役に就任した菅野信三社長が、就任後、まずとりかかったのが、この“係長の壁”の崩壊だ。そのために、経営ビジョンを再構築し、人事制度をつくりあげ、評価基準も明確にするなど、組織改善のベースとなる部分を徹底的に整備した。もっとも、こうしたことは、どの企業でも取り組むレベルともいえる。しかも、同社はドップリ旧来型のトップダウンの社風だ。どうやって、急速な化学反応を起こさせたのか…。

“摩擦”を最小限に抑えるきめ細かい配慮

現場レベルで大きく機能したのが、新たに立ち上げた「人材開発課」という部門だ。単に新部門を設置するだけでなく、「この社員なら、いまの会社を変えてくれる」と社長自らの目で、信頼のおける人物を担当者に抜擢したことが、肝になったといえる。

選抜された女性担当者のアクションもすぐれていた。会社の体質の激変となれば、社員からのアレルギー反応は避けて通れない。そこを女性ならではの丁寧な対応で吸収。「押し付けるのはよくないですから、各社員の意見をできるだけ吸い上げながら、理解してもらうよう心掛けました」と、拒絶反応をうまく前向きになエネルギーに転換しながら、新しい体制の説明を浸透させていった。そうした社員目線のキメの細かさが、大きな摩擦を生むことなく、わずか4年での劇的な体質改善につなげた大きなポイントいえるだろう。

外部研修サービスのエンカレッジを人事制度に連動させたことも社員のモチベーションアップに貢献したことは間違いないだろう。外で学ぶことは、見識を広めることにもつながり、取り組みの意義を客観視しやすくなるからだ。いまでは、離職率激減どころか社内結婚も増え、産後に復職する女性社員も珍しくないというから、同社の事例をみる限り、社風改善に「不可能はない」といえるのかもしれない。

アワードではその他、(株)プレスマン、(株)ジール不動産が優秀賞を受賞。特別賞を(株)アドヴァンス・ソフト・エンジニアリング、(株)FGH、(株)クアトロシステム、(株)モスフードサービスがそれぞれ受賞している。いずれも、経営の重要指標として、人材育成を掲げ、その結果、業績の向上にもつなげている。

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