企業風土

社内制度を活きたものにする働かせ方の仕掛けとは

投稿日:2013年7月23日 / by

社内制度を“長寿化”するしくみづくり

エントランス

株式会社アックスコンサルティング

キーワードは「楽しさ」。昨今は、職場環境の整備も経営の必須課題となり、各企業で様々な制度が導入されている。考え抜かれたユニークなものも多く、社員の潤滑油として機能している事例もある。しかし、長期間継続されている事例となるとどうなのだろうか…。アックスコンサルティングは、制度をしっかりと社員の行動規範の中に融合させることで、無理なく自然にユニーク制度を機能させ、定着に成功している。

なぜ「クッキングの日」なのか

ワインセラー

エントランスにどんと構えるワインセラーは「楽しさ」のひとつの象徴

「クッキングの日」、「ミュージカルの日」。同社には就業に関する2つの制度がある。前者はいわゆるノー残業デー、後者は、早帰り制度だ。わざわざ異名にしているのは、わけがある。そのままのネーミングだと面白味にかけるのと、単に残業しない日や早く帰る日だと理由が希薄になり、どうしても形骸化しがちだからだ。

「クッキングの日の前身は、ノー残業デーです。ただ我々は、単に残業しないということでなく、早く帰って家でゆっくり料理でもつくる、という風に目的を明確化することで残業しない意識を高めたいと考えています。ミュージカルの日も別にミュージカルに行かなくてもよく、自分磨きのために早く帰っていい日なのですが、あえてミュージカルの日としています。両方に言えることですが、やっぱりこうした制度は楽しく聞こえなければ続きませんから」と同社経営管理部/FC事業開発本部の相澤利一郎統括本部長は説明する。

従業員にとっては、出来れば残業はしたくない。早く帰れる日があれば早くあがりたい。しかし、会社でそうした制度があっても、業務が滞っていたり、誰も帰らないとやはり帰りづらい。そこで、早く帰る理由を明確にし、さらに「楽しさ」を加えることでモチベーションアップにもつなげようというわけだ。“社員バイブル”にもその目的は明記され、社員はある意味、制度を実行する“義務”もある。

週一の交流会が3年以上も続くわけ

立派なラウンジ

毎週金曜日の交流会が行われる社内ラウンジ

同社には、毎週金曜日に社内交流会を行う制度もある。その名の通り、週一回の社内での交流会で、つまみや酒をたしなみながら、社内の親睦を深めるのがその目的。こうした会も続けたくても多忙や強制力のなさから続けられず、最初の勢いはどこへやら、半年もすれば途切れてしまいがち。ましてや週1ペースとなると、継続は非常に厳しいといわざるえない。しかし、同社の場合、なんと途切れることなく3年以上続いているというから驚きだ。

「参加は強制ではありませんので、参加人数が少ないときもあります。しかし、それでも実施します。続けられているのは、仕組みが出来上がっているからですね。ローテーションで各回の担当が決まっているのですが、当番の組があの手この手で面白い企画を考えるので、毎回盛り上がります。会場は弊社のワインセラー併設のラウンジなのですが、代表が参加するときはそこから高級ワインが振る舞われることもあり、それも楽しみの一つになっています」と相澤氏。
ご当地の人をフューチャーする会、音楽好きを中心にした回、ダイエットをテーマにした回…など、交流会はまるでアメトークの「○○芸人」のようなノリで、社員の趣味趣向などが発揮される場となり、回を重ねるごとに社員同士のコミュニケーションが強化されているという。新人や中途採用が入った際には、そうした人員が“主役”として扱われ、距離が一気に縮まる効果も生まれている。

制度が“長寿化”するしくみ

担当の組がチラシづくりから趣向凝らす

担当の組がチラシづくりから趣向を凝らす

形骸化しがちなノー残業デーや早帰り、交流会を自然な形で長期間継続する同社。それぞれの点を結び、面としてみると、同社がなぜ継続できているのかが自ずと明確になる。つまりこういうことだ。早く帰ることを意識することによる「業務効率化」と「モチベーションアップ」、交流会による「社内コミュニケーション力の強化」。これら3つはバラバラでは意味がないが、連鎖することで、大きな相乗効果を生み出す。結果、業績は向上し、さらに社内のムードはアップし、イベントも盛り上がる。するとさらに制度実施へのモチベーションが上がる。こうした好循環が確立されることで、途切れる間もなく、回っていく。それが同社の制度が継続される「真実」といえる。

社内フィロソフィー

部下への指示や社員間の意思共有は簡単なようで難しい。一方的な押し付けは問答無用だが、配慮した指示でも価値観の違いなどで万人に受け入れられるとは限らない。ではどうすればいいのか。万能な策はないが、木を見て森をみずではなく、全体を俯瞰した上で、目標を定め、的確に制度を配置。そしてそこに必ず「楽しさ」を付与する。少なくとも同社の場合、その“戦略”が見事にはまり、出来そうでできない、社内制度の“長寿化”を実現している。


アックスコンサルティング2<Q-TAX>
同社が運営するQ-TAXは、会計事務所の全国ネットワーク。クラウド会計を利用した分かりやすい料金体系や選べるサービスが最大のセールスポイントとなっている。フランチャイズ式だが、基準を満たした会計事務所のみが加盟できるシステムに加え、オペレーションを統一することでサービス品質を高く保っている。

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