オフィスを持たずに活動を続けるNPO団体
NPO法人 Fathering Japan 徳倉氏 インタビュー
社会の中で最も小さい単位は「家族」そこを担うのはほとんどの場合が父親である。ファザーリングジャパンでは「笑っている父親」を増やすことをミッションとし活動を続けている。父親が笑って暮らせる社会とはどんなものだろうか。活動内容は、講演やイベントの設営、コンサルティングと多岐に渡っており、所属している人は忙しく日本全国を飛び回っている。そのためか、ファザーリングジャパンには決まったオフィスがないという。
オフィスを持たずに運営している団体
―ファザーリングジャパン様ではオフィスを持たず仕事をされていると伺いましたが、不便な点はございますか?
不便な点は全くないです。むしろ便利になったことばかりです。
個人事業主でやっている方は別ですけど、組織を運営するにあたって、オフィスが必要な理由ってなんだろう?っていうのをあげていったんです。これはなくてもいいんじゃないか?というものから提案してみて、あって当然だと思い込んでいたものをなくしてみるのはどうだろうかという意見があがったんです。
僕を含め代表もファウンダーも他の理事も全国を飛び回っていることが多いので、当時ほとんどオフィスにいませんでした。月曜日の午前中だけ会うみたいな感じでとても非効率でした。そこで、サイボウズさんのkintoneを利用してオフィスレスの運営をすることにいたしました。「サイボウズ社 kintone https://kintone.cybozu.com/jp/index.html」
メリットはとても大きく、家賃や光熱費といったコストは削減できるし、セキュリティは強固になりました。自社でサーバーを持っていたときはやはり自分たちで、サーバーの更新などしていかなければなりませんでしたから。
いろんな面でメリットが大きければ、そちらの方向に舵を切るのが経営者としての判断ということで、最初の半年間は事務所とクラウドの両立を試み、問題がなかったので2013年9月から完全にオフィスをなくしました。
コミュニケーションはオフィスがある時代より円滑になった
―オフィスをなくすことでコミュニケーションは減らなかったんですか?
コミュニケーションは逆に増えました。人の姿が見えない分、自分から積極的にコミュニケーションを取りにいきますし、連絡の質も上がりました。会って打ち合わせする時間も限られているんで、二時間で何を決めよう?っていったときに、事前に情報突き合わせて、これなら会う必要がないという場合は打合せ自体をやめてます。
―相当、時間の短縮ができましたね
そうですね。僕らは通勤もありませんから。事務所にくるための交通費もなくなりました。通勤の必要がない分、物を持たなくなるので、いらないものを買わないんですよ。お陰で整理が楽になりました。
郵便物は登記をさせていただいているスペースに届きます。電話も固定電話から携帯電話に転送してます。連絡手段はメールもありますし、事務所がないことに支障はないです。
ファザーリングジャパンのメンバーにはいろんな職業の人がいる
―ファザーリングジャパンのメンバーというのは全ての方がファザーリングジャパンの活動がメインというわけじゃないですよね
現在約360名(2013年12月時点)いますが、ほとんどがそれぞれ自分の仕事をメインで持っています。年会費を払って活動に参画し、イベントのお手伝いに来てくれたり、プロジェクトに対して意見をいったり、それぞれの持ってるスキルで活動に貢献をしていただいております。
―日本全国にメンバーの方がいらっしゃるという形ですか?
そうですね。これがとても心強いんです。日本全国、飛び回って活動していますが、僕は出張先に誰かしら仲間がいるんですよ。どこへ行ってもパソコンがあれば、連絡はつきますし、仕事ができるので、固定のオフィスがなくても全く問題ないんです。
―オフィスにとらわれずに仕事ができると、時間を自分で管理できるようになりそうですね。
遅くまで仕事をしていた次の日は、一つ目の打合せを11時半などに設定しています。そんな日は朝食を子供と一緒にとってから出てこれるんです。オフィスがないメリットを利用して、そういう工夫もしてます。
―しかし、全国を飛び回っているとなると、お子さんとの時間は減りませんか?
昔より増えていると思います。外での仕事は毎日10時~16時ぐらいで対応できるように心掛けています。そうすると、朝食と晩御飯を子供と一緒に食べられるようになるんです。子供といつも食事ができている父親ってほとんどいないんじゃないでしょうか。
僕は出張や理事会などがない限りは、いつも一緒に食べるようにしています。トータルで言うと相当な時間一緒にいますね。仕事の状況によっては21時過ぎに一緒に子供と寝ることもできるんです。土日で講演をする場合もあるのですが、土日で集中して一緒に過ごすというよりは、毎日平均的に子供と過ごせています。
バリバリの仕事人間だった過去
―徳倉様自身は子供ができたときに、父親としての感情が芽生え、今のような考え方に移行されていったといいますが、それ以前はバリバリの仕事人間だったんですか?
もう、バリバリの仕事人間でした。ワーカーホリックといってもいいぐらいの(笑) 僕、仕事しすぎて一回倒れたんです。20代半ばの頃に働きすぎで体調を崩し、しばらく仕事に復帰できない時期もありました。
それまでは、そういう命を削るような働き方をしていましたが、どうやれば効率よく短い時間で給与も取れる働き方ができるかって言うのを考えはじめたのがその後からです。
その後で結婚して、今後のキャリアを考えたり、夫婦で働き方を相談しあったりしていろんな選択をしながら、今の働き方に落ち着いたわけです。