企業風土

テクノロジーと共存する半歩先を行く働き方

投稿日:2014年8月5日 / by

fo「人に人らしい仕事を」の真意

(株)フリークアウト

HR統轄本部 人事労務グループ
金髪マネージャー 佐藤弘幸氏
人に人らしい仕事を――。フリークアウトが掲げるビジョンはシンプルだ。広告業界にテクノロジーによる変革をもたらした同社は、ある意味で人の仕事をテクノロジーによって“奪った”。だが、より重要なのは、今まで業務に奪われていた時間をテクノロジーが解放する事で、人間にしか出来ないクリエイティブな仕事への時間を奪い返したということだ。


人とテクノロジーの棲み分け

同社が提供するサービスは、メディアプランナーの仕事をテクノロジーによって代替し、その存在価値を薄めた。つまり、顧客がリーチしたいターゲットが集まる媒体を予測し選定、提案するメディアプランナーの仕事を、デジタルデータの解析により、予測でなくリアルタイムの情報に基づき最適にターゲットにアプローチするテクノロジーでその作業における人手を不要にした。

そう考えると、同社はメディアプランナーから目の敵にされそうだが、それは筋が違う。データ解析という、人よりもコンピューターが得意な分野に同社が適正なサービスをフィットさせたに過ぎない。

技術進化で生まれる人らしい仕事への余剰時間

金髪人事、佐藤氏

金髪マネージャー、佐藤ジョン弘幸氏

「コンピューターにより、人間がルーティンな雑務から解放されることによって生まれた時間を、クライアントに対し、より適正なサービスを提供するための時間へシフトできます。広告でいえば、これまで不確定要素が多くブラックボックス化されていたメディアプランの部分にテクノロジーで光をあて、明確にしていく。それによって、余剰時間が生まれる。そこを、人だからこそできるサービスや提案を考える時間へ転換するわけです。我々のいう『人らしい仕事』というのは、そういう意味合いです」と佐藤氏は、ビジョンに込められた意図を解説する。

人ならではの仕事となれば、顧客の気持ちを察したり、コミュニケーションの仕方、交渉など、データ解析による予測では成り立ちづらいことがそのフィールドといえる。それゆえに同社では、既成概念にとらわれることを良しとしない。「こうあるべきだ」という発想は、過去のデータによる判断であり、コンピューターにプログラミングしておけばできること。それよりも、常識の枠を超え、顧客を驚かすことに評価のポイントに置く。

評価の基準は“ヒトらしい仕事を提供するか”

「弊社においては、お客様や会社に対し、『新しい物を創造すること』、『人らしい(創造的な)仕事を提供するか』を評価しています。新しい物を創造し、お客様に提供するということを意識していれば、自ずと売上げにつながると考えているからです。例えば、お客様から自社プロダクトで対応できないような要望を頂いた場合でも『できません』ではなく、考えて創造するという姿勢がなければ、意味がないと考えています。とりあえず、自社製品を売ればいいのなら、極端な話、人でなくてもできますからね。お客様の要望を叶えるために必要であれば、他社製品を提案しても全然構わない。実際そうしています。お客様の声を持ち帰り、エンジニアと一緒に新しい物を創り出す姿勢こそが弊社における評価では大切だと考えています」。

テクノロジーに任せるところは任せ、人ができることに最大限の力を結集する――。この極めて合理的で先進的なワークスタイルを、進化のスピードに合わせ、高速で行うことで同社は顧客にとっての圧倒的なサービスの提供を実現し続ける。

人の力を最大化するためのオフィスへの仕掛け

ストリート

いつでもステージ可能なストリートのフロア

人が持つ力を最大化することを経営理念に掲げる同社は、オフィス内に創造性を刺激する仕掛けをあちこちに張り巡らせる。3フロアあるオフィスは、それぞれ野外フェスをコンセプトに「ストリート」、「海」、「森」 のテーマで色づけされている。どのフロアも個性的で、右脳をビリビリと刺激するが、特にユニークなのは、ストリートのフロアだ。ステージあり、楽器あり、バスケットコートあり、バーあり、コンテナありで、とても職場とは思えない空間となっている。

「ストリートのフロアは、コミュニケーションの場として活用しています。全社会議や商談など会議スペースとしての利用はもちろん、社外のエンジニアとの研修会やクライアントのイベントへの会場提供など、多目的なスペースとして、有効に活用しています。社員は固定の席もありますが、ラップトップを持ち込んで、ここで仕事をしても全然OKです」(佐藤氏)。

フロアの7割以上が、業務に関係ないスペースとなっているストリートのフロア。生産性を考えれば、1つでも多くの机を置いた方がよさそうだが、同社はそうした「既成概念」にはとらわれない。「無駄」というのは簡単だが、人を詰め込めば本当に生産性が上がるのか…。常に問題意識を持つというのは、まさに「人」ならでは。その意味で同フロアは、同社の一つのシンボルといっていいだろう。

スピード上場に追随する組織づくり

水のフロアにはプールが?

水のフロアにはプールが?

もっとも、わずか4年で上場を果たした同社は、急速な成長による社員数増大などもあり、成長痛できしんでいる。「上場し、新たな気持ちでスタートしましたが、まだまだ組織としては足りない部分がたくさんあります。いつまでもベンチャースピリットを忘れず組織を成長させるためにも、組織の整備をしっかりと進めていかなければいけないと気を引き締めています」と同社佐藤氏は、テクノロジーでは担えない部分だからこそ、これから整備を進める組織作りへ向け、自ずと力が入る。

もちろん、組織整備へのキーワードは「常識にとらわれない」。テーマごとに分けられた各フロアは洗練されているが、全フロアとも天井の配管はむき出しだ。ベンチャー企業の象徴ともいえる「ガレージ」のイメージで、その意識を忘れないためにあえてそうしている。人事マネージャーである佐藤氏が、金髪であることも、既成概念にとらわれないことの無言のメッセージだ。お堅い象徴といえる人事部だが、通り一遍の制度づくりで、成長にブレーキをかけるつもりはみじんもない。

人事制度の設計でも基本は「常識にとらわれない」

ホンモノの白樺を使った森のフロア

ホンモノの白樺を使った森のフロア

「僕は人事部ですが、一方で人事不要論者でもあるんです。というのは、人事部があるということで、評価や採用といった現場の社員にとって実は大切な事が他人事になりがち。そうではなくて、自分たちの隣に座る人を自分たちで考えて採用したり、自分たちで納得できる評価制度を考えていくような自立した人間・経営者の集まりであるほうがいいと思っています。ですから、私は役割として、人事の既製品(採用や評価)を押し付けるのではなく、社員から気軽に声かけてもらい、その声を吸い上げ、その声を生かし、現場が必要とすることを少しだけ先回りして提案する。そういう人事でありたいと考えています。とにかく既成概念にとらわれず柔軟でありたい。何が大事であるかははっきりしていますから」と金髪の佐藤氏は、力説する。

働くというフィールドに機械やロボットが入り込むことが珍しくなくなりつつある昨今。今後、その動きがさらに加速することは確実だ。それにより、何か起こるのか…。人の仕事が奪われるというよりも、人だからこそやるべき仕事が明瞭になる。それが健全な進化というものだろう。10年後には、セミスタンダーとなっていそうな、テクノロジーと共存するワークスタイル。自社サービスを磨きあげることが、その加速にもつながるだけに、同社の先進のワークスタイルもシンクロしながら、進化を続けていきそうだ。


【会社概要】
会社名: 株式会社フリークアウト
英文名: FreakOut, inc.
本店所在地: 〒106-0032
東京都港区六本木6-3-1六本木ヒルズクロスポイント5F
設立年月日: 2010年10月1日
資本金: 9億3,797万,8,400円
役員:
代表取締役CEO 本田 謙
取締役COO 佐藤 裕介
取締役CFO 横山 幸太郎
常勤監査役 齋藤 ふみ
常勤監査役 栁澤 文夫
監査役 小泉 文明
従業員数 100名(2014年4月現在)
事業内容 インターネット広告におけるリアルタイム広告枠取引を行うDSP及びビッグデータを分析するDMPの提供

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