企業風土

“アンチブラック企業”な働き方を目指す会社

投稿日:2013年12月25日 / by

売上げ至上主義の末路が原動力

ギャプライズエントランス
“いつも心にエンタテインメント”。プライベートは当然だが、仕事のときも遊び心は持っていたいものである。しかし、売り上げが芳しくなければ、どうしても自制してしまう。「売り上げが立ってないのに余計なことはするな!」。上司からの雷も落ちるだろう。ギャプライズは、売り上げ至上主義と決別し、冒頭のキャッチフレーズを理念に掲げ、働き方の新しい価値観を探求している。

着ぐるみが仕事をする理由

着ぐるみ福利厚生

常にではないが、盛り上がる時はみんなで着こむことも

職場にトラやパンダ、クマの着ぐるみを着た人間がいる。

余興ではない。着ているのは、同社の社員。もちろん、仕事中だ。強制ではない。着たいから着ている。社内には常時20着近くの着ぐるみが揃っているのだ。同社では、これを制度として採用し「着ぐるみ福利厚生」と呼んでいる。

「私どもはECサイトのプロデュースをしているのですが、その当時、着ぐるみのネットショップもサポートしていました。ある時、徹夜で企画書を作らなければいけない状況で、なんとなくオフィスの床に落ちていた着ぐるみを着込んだら、すごくテンションが上がったんです。以降、着用を公認したのがそもそものきっかけ。費用を会社が負担するので福利厚生としました。当社では“人を喜ばせる”は大事なキーワード。自分がハッピーになれば、人もハッピーに出来る。実際、一人着ぐるみの社員がいるだけで、職場はなごむんです」と同社土屋会長はその効果を説明する。

現実的には、着ぐるみを着用しての仕事は、作業効率からすると悪く見えるかもしれない。タイプが打ちずらい、暑い、息苦しい…。しかし、目的は、他の社員を喜ばせるため。自身の作業の不都合は省みず、同僚のために楽しさを提供することで、職場のムードは見た目の効果以上に良好になる。

ユニークさが生んだ副産物

土屋会長

売上げ至上主義とは真逆狙う土屋会長

誰にでも分かりやすく、ユニークなこの制度は、メディアの目に止まり、注目を集めた。その結果、採用時にも着ぐるみが間接的に貢献するという副産物もあった。「当社が、着ぐるみ制度を導入していることが広く知られることになり、採用段階でいいフィルターになるんです。つまり、ただまじめなだけでなく、遊び心を持った人が働く職場なんですよ、ということが知れ渡ることになりました」(土屋会長)。

ともすれば、注目を集めるための安直な制度と捉えられがちだが、根底には確固たる信念がある。それはまさに、着ぐるみとそれを着用する社員との関係にそのままシンクロする。周囲にはウケ狙いの派手さばかりが目に付くが、中に入っている社員は自社の理念を十分に咀嚼した上での行動、ということである。

なぜ売上げ至上主義と正反対をいくのか

「遊び心」と「売り上げ追求」の両立は、経営者にとって、理想だが難題である。だが、同社ではあえて、どちらかというならば、「遊び心」を優先する。「前の会社がバリバリの売り上げ至上主義でした。その結果、何が残ったのか…。会社はメチャクチャになり、私は疲れ果て、そこを去りました。僕のやりたかった事じゃなかったんですね。だから、この会社を立ち上げるときには、そこで出来なかったことと正反対のことをやろうと誓いました」(土屋会長)。中途半端に「遊び心」を口にしているわけでは決してない。

そうはいっても、企業はナマモノ。売り上げが低迷する時だってもちろんある。知らぬ間にムードが殺伐とする。そんなある時、何かを察した社員が、さりげなく着ぐるみで業務に臨み、場をなごませてくれたことがあったという。それによって、幹部は我にかえり、理念に立ち戻ったそうだ。形だけの制度なら、ピリピリとした空気の中で着ぐるみなどとてもできる芸当ではないが、“いつも心にエンタテインメント”という理念が、全社員に浸透しているからこそのなせる業といえるだろう。

理念の徹底で“ホワイト化”を推進

ミーティング

週礼では理念を徹底する

理念の徹底は、売り上げ至上主義を反面教師とするがゆえでもある。売上げを重視することは基本、数字が全て。理念があったとしても数字でかき消されてしまいがちだ。そもそも、売り上げによって、会社が潤っても心が潤うとは限らない。だからこそ同社では、理念の浸透には妥協なく時間を割く。毎週月曜日は1時間の朝礼が行われる。この時、社員がグループに分かれ、理念について、徹底的にブレストし、いかにして社内へと落とし込むかまでを議論する。もっとも、この時でさえもあくまで、優先されるのはマネタイズでなく「遊び心」だ。

「遊び心」と「売り上げ」。相反する両者のバランスをとるのは難しい。そうした中で、昨今は売り上げ至上主義への疑問が年々高まっている。売上げを上げてもそこに本当の満足はない、と多くの人が気づき始めている兆候なのかもしれない。多様化する価値観にいかに柔軟に対応するか。それが、“企業力”という方向へとシフトしつつもある。「遊び心とはいってもただふざけるわけじゃなく、物事を違う角度から見て、面白みを付けること」とその真意を解説する土屋会長。どうやら、この言葉の中に、経営者にとっての“難題”を解決に導くヒントの一端が凝縮されていそうである。

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