企業風土

社員教育の概念を覆す会社

投稿日:2013年12月16日 / by

社員をゼロから一人前まで育成する理由

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ギークス株式会社
『社員を教育し育てる。戦力として活躍の場を与える。独立を容認する。パートナーとしてつながる。』。“労働力を循環させる”という画期的な観点で、採用から自立までを包括的に捉える次世代型の人材戦略に取り組むギークス。その展望と可能性に迫った。

海外で英語&ITを缶詰で教育

小幡氏

ギークスキャンプの展望を語る小幡氏

英語を学ぶ。ITスキルを習得する。

勉強する場所は、フィリピン・セブ島。応募条件は特になし。「やる気」と「情熱」さえあれば、基本OKだ。

グローバル化の進展、ネットによる労働インフラの進化の中で、身に着けていれば大きな武器となる2大スキル。これらを全て、会社から渡航費、住居、生活費などの補助を受けながら受けられる。これが、ギークスが展開する採用・育成プログラム「geechs camp」だ。

このご時世、新卒採用さえ控える企業が多い中、未経験者、初心者に半年間かけて技術まで身に着けさせるプログラムを無償で提供する同社。一体その狙いはどこにあるのか。

人材不足だから育てる

「我々はスキル・経験が豊富なフリーランスと技術力を求める企業をつなぎ、プロジェクト単位の技術支援やビジネスマッチングを行っています。その中で痛感しているのがエンジニアの不足。足りないのなら自分たちで養成するしかない。それがこのプログラムをスタートするそもそものきっかけです」と小幡氏は説明する。

人材供給側である同社にとって、より良い人材を抱えることは、そのままサービス価値の向上につながる。従って、ある程度の先行投資も十分にリターンにつながるという算段だ。さらにもうひとつ、同社の今後の新たな展開にも「geechs camp」は、重要なカギを握る。

次なる事業フェーズも視野

「これまでは専ら人材を供給する側でしたが、そろそろ次のフェーズも視野に入れています。それは我々自身もサービスやプロダクトを生み出す側になるという展開です。そのため、今回キャンプに参加するメンバーは、その後、弊社の正社員エンジニアとして、働くことになります」と小幡氏。

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オフィス内のカフェでは定期的に勉強会を開催する

つまり、「geechs camp」は、同社の社員育成プログラムというわけだ。単体でもビジネスとして成立しそうな時代に合った魅力的なプログラムだが、同社は、自らが受け皿となることで、実践の場を与え、育てたエンジニアをさらに磨き上げるところまで面倒をみる。それでいて、将来的には同社からの 離脱も容認するという懐の深さもあり、単なる、自社の人材育成プランにだけにとどまらないところが、極めて革新的といえる。

「育てたエンジニアには、もちろんできるだけ正社員として長く活躍してほしいですが、数年で独立となってもそれはありだと考えています。もちろん、その場合は、フリーとしてなのか、企業体としてなのか、なんらかのパートナーシップを持ってつながりはキープしていくことにはなると思います。そもそも、このプログラムを始めたきっかけは、圧倒的に足りないエンジニアを養成することにありますから」と小幡氏は、大きな観点からプロジェクトの意義を捉える。

育て、投資を呼び込むまでを包括するプロジェクト

未経験からエンジニアを育成し、仕事を提供し、新たな価値を生み出し、プロジェクトへの投資を呼び込む…同社では、これを“エンジニアエコシステム”と呼ぶ。目指すのは、圧倒的に不足するエンジニアを次々と育て上げ、ひいては不足により悪化する労働環境の改善へとつなげ、エンジニアの社会的地位をワンランクアップすることだ。

ギークス

ドラマの撮影に使用される洗練されたオフィス

いつでもどこでもしっかりと稼げる人材の育成と採用。社会情勢に見事にマッチしたこのプログラムには、初回の募集から応募者が殺到。WEBデザイナーやアパレル関連の人間など、多様な人材からの応募があり、倍率は10倍から20倍にもなったという。この難関を突破したやる気と情熱あふれた2期生5人が、2014年2月からセブ島合宿へ突入する。その後は、3か月ごとに合格者が現地に続々と送り込まれる。

次世代の人材育成の成り行き

ブラック企業や新卒の3年以内の離職など、日本の労働市場は希望が見えづらい状態が長らく続いている。そこには、ワーカー自身の思いの薄さと同時に受け入れる企業側の育成環境の貧困さも要因として横たわっていることは否定できない。未経験者を育て、活躍の場を与える「geechs camp」。同社の事業領域的にビジネスとのリンクがしやすい背景はあるものの、人材育成のあり方を根本から変える可能性を多分に秘めた、世界を見据えた次世代型の取り組みであることは間違いなく、今後の成り行きが注目される。

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