企業風土

明らかに低能な社員より給与が低い【悩むなら聞け!】

投稿日:2015年2月24日 / by

~仕事・働き方のエキスパートがズバリお応えします~

<質問>

「給与の不平等を何とかしたい」

「先日、たまたま同僚の給与明細を目にしてしまいました。仕事の能力は明らかに私より下なのに、給与が私よりかなり高額でした。はらわたが煮えくり返りましたが、こういう場合、何かいい方法はないものでしょうか」(37歳女性)。

nayami

【回答】

「評価は相対的と心得るべし」

ご質問いただいた方は、確かにその同僚より能力が上なのかもしれません。ただし、それは本当に会社側からみた、会社が真に求める能力なのでしょうか。お勤めの会社が社員に求める能力は、傍からみたら「それが評価されるべき能力なのか?」、「そんな馬鹿らしい!」というものも含まれる場合があります。それが会社なんだと諭すつもりはありませんが、単純な物差しで比べられない側面があることは理解しておきましょう。

会社によっては、例えば「物事を穏便に済ませる」ということを暗黙的、非公式に評価することもあります(さすがに、物事を穏便に……が会社の評価している能力である、と表立って掲げはしないでしょうが…)。これはあくまで一例ですが、もし質問者が認識している能力と、会社が真に求める能力が一致しているのであれば、今回の給与格差は上司の評価エラーによる一時的なものと考えて差支えないと思います。

ですが、もしも双方の考える能力が一致していないかもしれない、という疑念が頭をもたげるようであれば、会社が評価シート等で定める能力は脇に置いて、身近なハイパフォーマーを一度じっくり観察してみてはいかがでしょうか。そうすることで、社内でどんなパフォーマンスを発揮することが、評価につながっているのかが少しはみえて来るかもしれません。

複数の会社に関与するビジネスコンサルタントをしていて強く認識するのは、特にビジネスシーンで発揮される能力というものは、ある会社、ある職場では高く評価されても、別の会社、別の職場ではまったく評価されない、というように相対的なものだということです。これは、企業にとっては都合はよくても、一社会人としてみたときにはとても悲しいことです。もしも会社が倒産したら他では通用しないかもしれないわけですから…。

そして更には、会社が社員に対して真に求める能力というものは、明文化されない、公にされないことも多いということなのです。この辺りは、日本のいわゆるサラリーマンの象徴的な部分といえるのかもしれません。これらを理解した上で、もう一度お気持ちを整理してみるといいかもしれません。


新井健一<回答者プロフィール> 新井健一
1997年4月、大手重機械メーカ入社。人事業務全般に従事。1999年10月、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社。 組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月、経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍中。現在に至る。

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