企業風土

働きやすさを追求するメディア企業の取り組み

投稿日:2014年7月28日 / by

itmedia1社会貢献には働く人の幸せが必要

 

アイティメディア(株)

アイティメディアは、IT総合情報ポータル「ITmedia」をはじめ、各分野の専門的なコンテンツを豊富に提供するメディア企業。社員の半分近くは編集系で、多忙な毎日を過ごしている。だが、同社はそうした状況と真っ向から向き合うことで、メディア企業ながらも働きやすい環境を実現している。


なぜ労働環境をケアするのか

新聞や出版などのメディア関連に身を置くワーカーは、一般的なワーカーに比べ、社会情勢や取材対象の動きに合わせ、スピードとも勝負しながら業務を進めるため、仕事がハードになりがちだ。同社でも日々、多くの運営サイトで流れるように情報が更新され、タイトな中で、各自の裁量の中、社員が業務を進めている。

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労働環境改善の取り組みについて説明する長谷川氏

「確かに一般的な会社業務とは違うハードさはあるかもしれませんが、業界との結びつきが強いメディアが多いので、休みや時間的な部分ではそれほどの負担はないと思います。休暇の取得についてもかなり後押ししています。とにかく労働環境については、出来る限り良くするよう働きかけていますし、そうした効果も出ていると思います」同社総務人事部リーダーの長谷川深氏は説明する。

産休・育休取得者の復帰率100%

分かりやすい事例では、子育てへの環境整備がある。男女問わず、子育てをしやすい環境の整備に努め、産休・育休取得者の復帰率はなんと100%。職種などにもよるが、メディア企業であることを考えれば、かなり驚異的な数字といえるだろう。

「子育てについては、弊社代表の大槻の経験が影響している部分はあるかもしれません。自身が男手で子育てをしてきた人なので、子育てについての理解は深く、常に気を配っています。そうした部分が、育休などの取得のしやすさにつながっている面はあると思います」と長谷川氏は明かす。

「代表ディスカッション」という制度もある。これは、社員と社長がマンツーマンでディスカッションするもので、事業内容から会社への提言、業務内容、今後のキャリア、あるいは趣味や子育てといった部分まで硬軟問わず、ざっくばらんに意見交換する。ありがちな形式的なものでなく、しっかり1時間近くの時間を割く力の入れようだ。

働いている人が幸せでないと社会に貢献できない

「働いている人が幸せでないと、社会に貢献できないという社長の考えがあり、こうした機会を大事にしています。しっかりと時間をとって、さすがにマンツーマンですから少し緊張はしますが、いろいろなお話がされているようです。このディスカッションから現場にフィードバックされることももちろんあります」(長谷川氏)。

オフィス一角にあるマルチスペース

オフィス一角にあるマルチスペース

同社のオフィスの一角には、リフレッシュするためのスペースが広めにとられている。ファミレスのようなゆったりしたソファが並ぶスペースやカフェのようなスペースなどがあり、社員の交流やリフレッシュ、あるいは執務など、多目的に有効活用されている。実はこのスペースは、移転の際、現場社員で構成された「オフィスレイアウト検討委員会」の立案を社長が受け、実現したもの。ともすれば業者主導になりがちなオフィス設計だが、労働環境を左右する重要な部分に、現場社員が関与している点で、同社の考えが集約されたひとつの象徴といえるだろう。

あくまで社員中心の風土づくり

トップが率先して、環境づくりに気を配る同社では、評価についても工夫を散りばめる。日頃の感謝や経緯をFBの「いいね」感覚で送り、それらを積み重ねる「チームワークアワード」制度などは代表的なもので、あくまで社員が中心となるよう、風土づくりが行われている。

itmedea4社員のビジネス英語力アップを目的とするビジネス英語トレーニングもある。こうしたサポートは今や珍しくないが、同社では講師は社員が務める。通常、英会話スクールから講師を招へいするケースが多いが、社員中心の風土だけに自然に生まれた形なのかもしれない。当然、生徒と先生の距離は近く、より濃密な講義となるせいか評判もいいそうで、TOEIC900点台を出した社員もいるそうだ。

メディア企業=ハードは甘え

メディア企業=ハード。なにを基準にするかはともかく、時間が不規則になりがちな部分などに着目すれば、確かにそのイメージは外れとはいえない。しかし、一企業として考えれば、そうした状況を少しでも改善しようとするのも当然の役目であり、健全な姿勢といえる。ましてや、それが業務効率に悪影響を及ぼすならば、改善するのが会社の当然の責務といえる。

現実には、「仕方がない」を理由に放置され、悪循環になりがちだが、労働環境も変化する中で、それでは立ち行かなくなりつつある。時代は着実に進み、テクノロジーも進化している。その気になれば、メスを入れる手段はいくらでもある。実行することが、業界の新たな姿を生み出すことにつながる。その意味で、同社の取り組みは、単なる労働環境改善とは違う意味で、さまざまな可能性が詰まっているといえそうだ。


アイティメディアHP

http://corp.itmedia.co.jp/

【会社概要】
社名:アイティメディア株式会社 (英文表記:ITmedia Inc.)
所在地: 〒107-0052 東京都港区赤坂8-1-22 赤坂王子ビル(受付7階)
設立: 1999年12月
資本金: 16億38百万円(2014年3月末日現在)
従業員数: 175名(連結:2014年3月末日現在)
役員: 代表取締役社長 大槻利樹
取締役:     後藤周子
取締役:     小林教至
取締役:     斎藤健二
取締役:     土橋康成
常勤監査役:   神嵜眞澄
監査役:     下山達也
監査役:     樋口 理
監査役:     佐川明生
上場市場 東京証券取引所マザーズ [証券コード:2148]
上場日:2007年4月19日
事業内容 インターネット・メディア事業

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