企業風土

働き方用語の正しい読み方【労働組合】

投稿日:2015年11月5日 / by

意外なほど簡単な労組のつくり方

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こんな交渉ならあっさり陥落できたりして…

アマゾンジャパンが労働組合を結成した。正社員数人で結成したという。理由は、恣意的な人事評価に基づく退職強要などの改善。アマゾンを巡っては、米メディアも過酷な労働環境を報じるなど、“ブラック”の声が目立ち始めている。米アマゾンは、そうしたことがあれば改善するとしているが、実態は定かでない。

それにしても、労組の結成が話題になるというのは、アマゾンの知名度ゆえだろう。労組の結成は、意外に簡単で、同社が正社員数人で行ったように、2人からでも可能だ。もちろん、会社側と労働条件について交渉するために結成することを考えれば、人数は多い方がいい。多くの労働者が団結することで、それ自身がブラック化への抑止力となり、交渉力となるからだ。

もっとも、昨今は、労組は減少傾向にあり、あっても形骸化しているケースが目立つ。大企業は別として、企業の大半を占める中小企業、あるいはベンチャー企業で労組結成といっても、規模的にあまり意味をなさないし、そもそも労組の活動をしている時間などとれないのが実状だからだ。

働き方の過渡期に本当にベストな選択かは熟考すべき

労組が機能している企業でも、団体交渉より、そもそも不平不満が起こらない職場であることが理想であり、人事部などはそうしたことに力を割いている。企業としても、労組はできれば結成して欲しくないのが本音だろう。だが、労組結成による解雇はもちろん違反となるため、思い立った社員が結成することを躊躇する必要はない。ただし、本当にそれがベストの選択かはよく考えた方がいいだろう。

なぜなら、労働者が団結し、企業と交渉するのは、会社が生涯面倒を見てくれるのが前提だからだ。交渉がうまくいっても、景気悪化により、経営が傾き、最悪、消滅してしまえば、何の意味もなり、労は無駄になる。かつてはそうした心配は無用に等しかったが、いまやどの企業にとってもそうしたリスクは他人事でない。社員とて、頑張って会社と交渉すること以上に、いかに経営をよくしていくかを真剣に考えねば、路頭に迷いかねない時代なのだ。

その意味では勝ち組企業のアマゾンジャパンゆえに、この先まだまだ発展が見込まれるという算段で、いまの内から働く環境を整えておこうと社員が考えたのなら、懸命であろう。人を人と思わない企業姿勢があるとすれば、許されることではない。それにしても、このご時世に、あえて労組を結成し、労働環境改善を実現しようという発想が、かのアマゾンからでたとのいうのは逞しさを感じつつ、まさに瓢箪から駒のような印象を強く受ける。やはり、“ブラック説”は本当なのか…。

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