企業風土

モチベーションカンパニーのつくり方

投稿日:2014年7月4日 / by

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社員モチベーションを高める重要ポイント

 

(株)リンクアンドモチベーション

(株)リンクアンドモチベーションは、モチベーションを軸とした経営コンサルティング会社。社員モチベーションを成長エンジンとする会社を輩出することをミッションに掲げる。独自ノウハウで顧客企業のモチベーションを高める同社は、自身がノウハウを活用することで、その効果を実証する。企業はどうすれば、社員のモチベーションを高められるのか。多くの企業が直面する難題を同社の人材育成から探る――。


コアとなる3つの要素

リンク&モチベーション、小栗氏

モチベーションカンパニーの作り方を語る小栗氏

「モチベーションを高めることをコンサルティングする我々が、低いモチベーションの組織だとなんの説得力もありません。従って、我々は自社のノウハウ活用し、モチベーションカンパニーとしての最高の作品創り、組織創りを目指しています」。同社グループデザイン本部ユニットマネージャー(取材時※)小栗隆志氏は、当然のように口にする。医者の不養生ではないが、モチベーションの低い担当者が、他社のモチベーションを上げる提案しても響くはずがない。

ではどうすれば、社員のモチベーションを高めることができるのか。同社が実践している諸々のアクションをみてみよう。モチベーションアップのコアとなるのが「ヒューマンリソース(個人の能力)」、「ルール(人事制度)」、「コミュニケ―ション」の3要素。特に重視するのが、コミュニケーションだ。

重要なのはコミュニケーション

「たいていの企業は、設計までは頑張るのですが、そこで終わっているケースが多い。そうすると全体に血が通わなくなり機能不全を起こし、結果、形骸化してしまいます。もちろん設計も重要ですが、設計だけではなく浸透させ続ける努力が何よりも重要です。形骸化するケースの原因は、コミュニケーション不足の場合がほとんどです。誰に、なにを、どのように、伝えるのかが、経営メッセージに紐づいていなければ、機能しません。何のための制度設計なのか、がずれると、コミュニケーションも起こりようがなく業務が作業と化してしまいます」と小栗氏は指摘する。

アナログながら効果は絶大という社内報

アナログながら効果は絶大という社内報

組織のコミュニケーションのために同社が行う施策は多種多様だ。日報や社内新聞、社内報、WEB、総会…など、タイミングや目的を綿密に計算した上で様々なメディアを駆使し、全社員へ情報発信する。掲載媒体は、閲覧効果を考慮し、紙にするかWEBにするかを内容に合わせ、変える手の込みようだ。さらに社内報に載せるインタビュー記事は、いま会社としてメッセージを送りたい人物を人選し、掲載するなど、全ての企画に会社としての意思を落とし込み、方向性を設定。その結果、社員は常にぶれることなく会社の向う方向を認識し、やるべきことも自分の目と耳で把握できる。

自分株式会社という考え方

個の動きをコントロールする「ルール」にもモチベーションを下げない細心の注意が払われる。同社の人材育成では、個人を一つの会社としてとらえる「i-Company」という考えを軸としており、ルールで縛るよりもルールを活かして自立を促すことを主眼とする。その上で、要素を「評価」、「報酬」、「等級」の3つに分類。評価面談は、4半期ごとに行うことで適度の緊張感と集中力をキープ。報酬・等級は、役職でなく、あくまで職能、つまり発揮能力で評価する。

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モチベーションを高めるポイントを詳細に解説する小栗氏

「終身雇用制というのは辞めなければ後で報われるよ、と会社と社員が相互に長期拘束しあう制度です。それでは双方の依存心が強まり、自立心が失われ、個のモチベーションはキープできません。私たちは、ルール設計においては自立した個人になることを推進する形を意識しています。いかに自分のキャリアやスキルを磨き、会社と対峙するパートナーとして貢献できる人材か、を重要な指標としています。細かいルールではなく、ある程度の自由度を持たせた制度であるため、その意味では、マネジメント職の力量もポイントになります」(小栗氏)。

入社前後のマネジメントにも注力

これらはあくまで入社後の施策だが、当然、入社後こうした方針と価値観が合わなければ双方にとって不幸が訪れる。そこで同社では、入社前を「エントリーマネジメント」として、人材の見極めにたっぷりと時間を割く。当然ながら、スキルとコミットメント(入社意欲)の総量が同じなら、コミットメントの値が高い人材が選ばれる。理念に共鳴できずにモチベーションが低ければ、高いパフォーマンスを発揮しようがないからだ。

同時に退職における「イグジットマネジメント」も意識する。企業も個人も、激しい競争による戦略変更、生活環境や志向の変更により、求めることが変わっていくものだ。そこに過度な依存心は必要ない。あくまで、その時点の状況に応じてその実力を発揮することが評価となるだけに、その先に転職や独立があるのは健全な証拠といえる。従って、同社ではあえて“辞めやすい風土”を醸成し、適度にドライな関係構築をさりげなく漂わす。

最も重要なのはいかに“壊せる”か

従来の会社と社員の関係を考えれば、同社の風土は違和感があるかもしれない。だが、すでに時代は変わっている。同社では、体質変化を目指すフローとして「アンフリーズ」→「チェンジ」→「リフリーズ」のステップを提案する。ポイントとなるは、最初の「融解」の段階。ここでいかにこれまでの常識を壊せるかが、そうでない企業がモチベーションカンパニーへと脱皮できるかの分岐点となる。

右肩上がりの時代は、自社の商品・サービスを押し上げることが、全社員の共通目標であり、それがそのままモチベーションにつながった。だが、成熟の時代へとシフトした現在は、ニーズが多様化し、より価値あるモノ、革新的なものでなければ、市場競争力を持たなくなった。そのためには、社員個々がモチベーションを高め、自立することが、重要となる。企業は、いかにしてそうした土壌をつくるかが、商品開発や販売展開などの戦略立案と同等以上に重要となりつつある。

※ 7月1日現在、グループ会社の株式会社リンクアカデミー 代表取締役社長


【会社概要】
社名:株式会社リンクアンドモチベーション
(Link and Motivation Inc.)
上場市場 :東京証券取引所 市場第一部
(証券コード:2170)
設立:2000年3月27日
創業:2000年4月7日
lm01事業内容 :モチベーションエンジニアリングによる企業変革コンサルティング
モチベーションマネジメント事業(人事・教育支援)
エントリーマネジメント事業(採用・動員支援)
グループ会社:
株式会社リンクグローバルソリューション
株式会社リンクイベントプロデュース
株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ
株式会社リンク・マーケティング
株式会社リンク・アイ
株式会社インタラック
株式会社リンクアカデミー
株式会社モチベーションアカデミア
株式会社リンクスポーツエンターテインメント
株式会社リンクダイニング
HP: http://www.lmi.ne.jp/

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