企業風土

利用率7割強の極楽福利厚生のうらやましい実態

投稿日:2015年7月22日 / by

(株)デジタル・フロンティア

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社員も大満足のなるほどな中身

福利厚生は社員にとって潤滑油のようなありがたい制度。だが、実際には、日々の忙しさや煩雑な手続きのせいでその利用率はせいぜい3割程度だ。削減する企業も目立ち始めている。そうした中、(株)デジタル・フロンティアが福利厚生の一環として導入する「マッサージ」は、その利用率、なんと7割強。リピート率も、9割という超優等生ぶりだ。その秘密はどこにあるのか。オフィスに潜入し、リサーチした。

会議室がわずか5分で“極楽部屋”に変身

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施術後ほどなくお任せモードに突入した社員

「こちらです」と人事担当者に教えられた部屋に到着。マッサージ部屋というのだが、会議室が並ぶ一角にあり、どうみても「会議室」だ。中へ入るとテーブルやモニター、電話機などがあり、やはり会議室に間違いない。

「では準備します」。白衣の女性が手際よくベッドを組み立て、備品を設置。最後にアロマに点火すると、あっという間にマッサージルームへと様変わりした。その間、わずか5分足らず。すかさず、予約していた社員がベッドにうつぶせになると、すぐに気持ちよさそうに身をゆだねはじめた。

なぜ来社型を選択したのか

「実は弊社では、マッサージ師の方をお呼びして、社員にマッサージを受けてもらっています。導入を検討した際には、常駐で固定の部屋を設置する案もあったのですが、コスト等も考え、最終的にこのカタチに落ち着きました」と同社管理部の人事担当・立田洋介氏は経緯を説明する。

福利厚生としてマッサージを提供するなら、補助金を出すやり方もある。会社にとっては場所を押さえる必要がなく、社員にとっても好きな店舗を選択でき、よさそうなものだ。だが、同社ではあえて会社での施術にこだわる。その理由について立田氏は次のように明かす。

ココが会議室であることを忘れてしまいそう…

ココが会議室であることを忘れてしまいそう…

「福利厚生は皆さんに平等に活用してもらえなければ意味がありません。補助金を出すやり方も、もちろんありなのですが、それでは結局、利用者が限られてしまいます。実際、弊社の社員は機会さえ用意すれば活用する傾向がある反面、そうでないとなかなか腰が重く活用してもらえません。そこで、全員が平等に活用できるよう、より敷居を下げる意味で、来社型、さらに、就業時間中の提供というスタイルにしました」。

確かに、訪問した日は、午後の就業時間の真っ只中。にもかかわらず、スケジュール表は、予約でびっしりと埋まっていた。就業中に社内で本格的なリラクゼーションを楽しめる、なんとも贅沢な極上の福利厚生。就業中の“非日常”という特別感に加え、アリがちな形だけのモノと違い、管理部が活用を促すアナウンスを定期的に行い、煩雑さや活用し忘れにも配慮することで、驚異の利用率7割強が保たれている。

サービス提供側の努力もリピート率に貢献

管理部の担当者の方をほぐしながら心もほぐす遠藤氏

管理部の担当者の肩をほぐしながら心もほぐす遠藤氏

サービス提供側の企業努力も見逃せない。同社へ施術スタッフを送り込む、法人向け出張マッサージのパイオニアといえる「イーヤス」では、マッサージ師の教育を徹底。技術だけでなく、コミュニケーション力も磨き上げ、社員の心の浄化にも貢献するよう心掛けているのだ。

「私どもはただマッサージを提供するだけでなく、社員とのコミュニケーションをとることも重視しております。あくまでさりげなくですが、そうやって社員の方の状況をヒアリングすることで、気持ちをスッキリしていただくことも役割のひとつと考えています。さらに、そうしたことを会社側にも吸い上げてもらい、総合的に社員の健康に寄与できればと思っております」と同社代表の遠藤基平氏は明かす。

普段は会議室として喧々囂々のムードで殺伐としがちなスペース。それが、出張マッサージ提供日には、一転して至福の空間に変わる。そのミスマッチ感も、社員のハートをわしづかみにする大きなポイントといえるだろう。利用者の反応はもちろん上々で、そのまま個人的にマッサージを依頼する者もおり、さらに「もっと時間を延長して欲しい」という要望も殺到しているという。

大好評で“増枠”にも対応

「現在、社員が250名近くおりますので、一人当たりの時間延長はかなり厳しい状況です。それでも、一日に受けられる人数の枠を増やすなどの対応をしております。我々としましては、より多くの社員にこのサービスを受けてもらい、自分の健康について、しっかりと考える機会につなげてくれればうれしいと考えております」(立田氏)。

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同じ空間で、業務を行っているだけに特別感もひとしお

利用は、基本の15分コースは無料。30分コースは、300円の自己負担となる。それでも、ほとんどが、30分コースを選択するという。普通に店舗で受ければ、3000円程度はするだけに、社員にとってはなんともうれしい福利厚生といえる。実は、同社にはもともと、マッサージチェアが3台あったが、ほとんど活用されず、埃をかぶっていたという。それだけに、出張マッサージがいかに好評かが分かるというものだ。同社では、今後もマッサージは継続し、さらに出張型ヨガの導入も検討しているそうだ。

昨今は、福利厚生とは一線を画し、社員の健康を経営と紐づける「健康経営」という考え方が広まりつつある。コストとして重荷になりがちな福利厚生ではなく、人材への投資という観点から、社員の健康へ惜しみなく投資しようというわけだ。両者は似て非なるものだが、一番の違いは、前者は形骸化しがちで、後者は積極的に業務の中へ組み込むという点。その意味では、福利厚生もやり方次第では十分に「投資的」価値を生み出すことは可能といえそうだ。同社の事例は、まさにその好例といえる。


【会社概要】

df2社名:株式会社 デジタル・フロンティア
資本金:31,458千円
スタッフ数:265名(2014年4月現在)
設立:2000年5月
役員:取締役会長 山本 英俊
代表取締役社長:植木 英則
専務取締役:豊嶋 勇作
取締役:浅井 健
取締役:中川 力也
監査役:小澤 謙一
所在地:<本社>
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町9-8 KN渋谷3ビル3F
<スタジオ>
オパキス (お台場パフォーマンスキャプチャースタジオ)
フェイシャルキャプチャースタジオ
〒135-0064 東京都江東区青海三丁目4番19号 青海流通センター1号棟北側3F
<大阪事務所>
〒556-0011 大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 パークスタワー13F
事業内容: 映像全般の企画及び制作
劇場用映画・TV番組の企画及び制作
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HP:http://www.dfx.co.jp/

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