企業風土

社員モチベーションを向上させる働かせ方とは

投稿日:2013年6月6日 / by

「愛」と「映画」が醸す和やかムード三輝

株式会社三輝

社員のモチベーションが高ければ、当然、業績の伸びも期待できる。もっとも、他人に強制されて高まるものでなければ、上から押し付けて効果が出るものでもない。流体継手の企画・設計・製造をする(株)三輝は、従業員のアンケートをフィードバックした制度を比較的緩めに設定することで、社員のモチベーションアップに効果をあげている。

有給をより取得しやすくするための一工夫

老夫婦

愛する人のために休めるLove休暇

「妻の誕生日なのでお休みをいただきます」。こんな風に申請して、有給休暇を取得できれば、理想的。微笑ましくもある。だが、現実には、「ちょっと私用で」、あまりよろしくないバージョンだが「身内に不幸がありまして」など、後ろめたさもあって、取得にあたり無難に理由をつけてしまいがちだ。権利はあっても活用しづらい。それが、サラリーマンにとってのごく一般的な有給休暇取得の実態といえる。

冒頭の「愛妻のため」という有給休暇取得申請の理由は実は、同社の新制度を活用した際に実際に使われたフレーズだ。その制度とはズバリ「love休暇制度」。より有給を取りやすくするために2013年4月から取り入れられた。

愛する人や大切な人のために

「弊社は特に有給休暇がとりづらい会社ではないのですが、それでも理由が旅行などだとどうしても人目は気になる。そこでそうした後ろめたさをなくす意味合いもあり、自分の大切な人のために休める制度として、導入しました。全社員に告知するので、堂々と、そして有意義に有給を過ごすことができると考えています。大切な人にもいい会社だと思ってもらえる狙いもありますね」と同社企画開発技術部マネジャーの阿部拓也氏は説明する。

名画座

毎月給与支払日には映画観賞券が配布される

ちなみに「妻のため」で申請した人は、実は制度活用の第一号。同社のベテラン社員だった。まじめな年長社員が愛妻のために休暇を取ったことで、社内は盛り上がり、あまり接点のなかった社員同士の交流活性化にもつながったという。もちろん、“愛妻休暇”は有意義なものになったそうだ。なお、この制度を活用した場合は、扱いは有給休暇と同じだが、5,000円の手当てが支給されるというから、なかなか気が利いている。

同社では同時期に「エンタメ!! 映画鑑賞」という制度もスタート。毎月、給料日に映画鑑賞券を支給するもので、社員のリラックスとコミュニケーション活性化につなげてもらう狙いだ。その他にも、企画提案制度、短期目標設定、資格勉強会参加費補助など、今期から同社は“楽しくなければ仕事じゃない”をスローガンに掲げ、阿部氏が先頭に立ち、社内活性化を図るべく、さまざまな改革を進めている。

社員モチベーションを高めるための変革

「会社にとっての一番の財産は社員。一人一人の社員のモチベーションをいかに高めるかが、その命運を左右するといっていいと思います。弊社は中小企業ですから、これまで制度的なものとしてきっちりとした形がありませんでした。これからは社員が働きがいのある職場となるよう形として示していこう、ということで今期からいろいろと動いています。いずれも押し付けではありませんが、活用すれば自分にプラスに返ってくるものになっています」と阿部氏は、変革実施の狙いを説明する。

相互理解の制度設計で息苦しさ回避

130606-3居心地が悪くなくても、モチベーションが高まるとは限らない。高めるための仕組みを作っても、押し付けでは逆効果になりかねない。各人が自主的にやりがいを見出すのが理想的だが、簡単ではない。そこで同社では制度導入に先立ち、アンケートを実施。それに基づいて制度を設計した。

一方通行でなく、双方向性の重視。その結果、制度は一気に増えたものの、押し付けるわけでもなく、自分の希望をかなえたければ活用するというスタンスということもあって、ここまで順調に機能しているという。

昨今、企業にとって、社員のモチベーションを高めることの重要性が一層高まっている。一方で、経済情勢の先行きは依然不透明で、これまでのように会社側から社員満足度向上にふんだんに予算を投じることも難しい。同社の事例は、ちょっとしたことだが、会社から社員への配慮が制度として落とし込まれており、制度プラスαの効果が期待できる。どうにも社員のモチベーションが感じられないとの課題を抱えているなら、社員との“距離感”をひと工夫してみるのも悪くないかもしれない。


いろいろなアイテム<昨今は技術力活かし、他分野へも進出>

創業以来、大手企業のOEMの生産を中心に流体継手を製造する同社は、最近はそうした技術力を応用し、雑貨部門への展開も図っている。「詰め替えそのまま」は、名前の通り、詰め替え用のパッケージをそのまま利用するアイディア商品。抽出口に製品を取り付け、反対側に引っかけ用の器具を取り付けることで、あっという間に実用品となる。雑貨ながら、高い技術力を応用しており、中身を無駄なく絞り出せる。最新作では、ボトルと一体となったタイプが開発されている。

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