
新人定着はトキの増殖と同じ?
お毒 また新人ボーイが辞めちゃったわ。なんで一生懸命育ててあげてんのに辞めちゃうのかしら。若い子をとるのはもうやめようかしら。
猫田先生 いちいち体を触りながら密着指導してるんだから、そりゃ逃げたくもなるだろ。若いとかの問題じゃねぇと思うぜ。
お毒 そうかしら。なんかもじもじしてうれしそうだと思ってたんだけど…。教育って難しいわね。
猫田先生 明らかに嫌がってる感じだけどな。ま、会社でも新人の定着率は相変わらず低くて3年3割は続いてるみてぇだけどな。そんな中でついこないだ面白れぇサービスが出てんだ。リクルートキャリアの「ReCoBook」だ。なにか、ってぇと、新人の定着と戦力化を支援するサービスなんだな。
お毒 それいいわね。アタシも使いたいわ。どんなシステムなの。
猫田先生 新人や若手はWEB上で簡単な質問に答えるんだんな。人事や上司は、それを見ることで適切なコミュニケーションをとれるわけだ。さらに年6回は心のチェックも行う。それによって“こころの可視化”を行う。これらによって、若手に対し、的確な指導や助言を行うことが可能になるってワケだな。
お毒 ふーん。でもそれって、新人や若手を監視してるのと同じだから拒絶反応起こすんじゃないの。結局、会社に指示されてやるんなら、日報とかと変わんないんじゃないかしら。
猫田先生 そういう側面もあるだろうが、第三者が介入してるんである程度のクッションにはなるだろ。それに日報なんかは、業務に関連するわけだが、これはその辺とは線引きしている。人事や上司が目を通すってところは何ともいえねぇが、ガス抜きにはなるんじゃねぇのか。新人や若手にとっては、自身の状態を客観視できるワケだし、割り切って使えば、成長を促してくれるツールにはなりうるんじゃねぇか。
お毒 どうなのかしら…。興味あったけど、ちょっと微妙かな。アタシが密着指導するのと、WEBで質問に答えるのとなんて比べるまでもなく、アタシの勝ちでしょ。若い子がその方がいいっていうなら、仕方ないけど…。
猫田先生 密着指導はいやだろうな。それはともかく、このサービスが誕生した背景には、求人倍率の大幅な上昇により、優秀な人材の確保が難しくなっていることがある。つまり、採用した人材は、しっかり定着させ、教育する必要がますます高まっている。それができない場合大きなダメージを被っちまう。しかし、現実には人員の問題等もあり、なかなか難しい側面もある。そうしたマイナスを補完するための支援サービスとして開発されている。だからそれなりにニーズはあるハズなんだよな。
お毒 仮に機能したとしてもなんだか軟弱な戦力が育ちそうだけど…。だって、会社の人事と第三者を介してこころの内をみせてる時点で、なんかヘンじゃない。面と向かっていろいろ話して、悩みや問題を解決すればいいじゃない。スキンシップってホントに大事なんだから。そもそもデータ上は、7割は定着するんでしょ。十分じゃないの。
猫田先生 お前の場合はスキンシップの域を超えてんだよ。とはいえ、一理あるとは思う。ただ、採る側としては見込んだ人材なわけであって、全員にしっかりと育ってほしいのが心情だろう。その最初のステップの定着までが難関だからな。そこまでは、なにがなんでもって部分もあるんじゃねぇか。腫れ物に触るというかさ。ま、トキの増殖みてぇなもんだよ。
お毒 なるほど、トキね。アタシもこの胸で卵を孵化させるようにやさしく、やさしく指導してあげればいいのかしら…。
伝衛門 急に吐き気がしてきたでやんす…。オッ、オエッ~ッ。
お毒 いいのよ、遠慮しなくて。
猫田先生 若者離職率は日本の将来にとって深刻な問題。このサービスが歯止めになるとは思わんが、何かやらねぇと改善はねぇわけだからな。退職シニアの有効活用として、新人のメンター役に時給1000円位で再雇用するってもいいんじゃねぇか。WEBなんかよりよっぽどいいかもよ。経験豊富なわけだしよ。もちろん、密着指導は厳禁だぜ。