企業風土

会社からルールをなくすとどうなるのか…

投稿日:2015年9月16日 / by

“縛り”のない会社の日常

willfowad1

ウィルフォワード
成瀬拓也社長

ルールなしーー。メディアプロデュースなどを基盤とする(株)ウィルフォワードの運営スタイルは、いわゆる会社の概念を完全に超越している。「ルールなしで会社はどうなるのか」。バリバリの会社員から転身し、大胆すぎる実験にチャレンジする同社成瀬拓也社長に、その狙いや実態を聞いた。

いただきますから始まるある日の1日

「いただきます」。同社では、毎週木曜日は、社員が集まっての朝食からスタートする。「パワーモーニング」と呼ばれる朝食会だ。調理担当は週替わり。メニューは当日分かる。パンケーキやそうめん、ピザ。時には朝から焼き肉という日もあるという。各担当者が、自分の好みや食べたいものを考え、同僚にふるまう。

willfoward2

このパワーモーニング。ユーニク度でいえば、やや珍しいレベルだが、実は、このシーンに同社の働き方に対する思いが凝縮されている。まず、この場所。同社のオフィスに違いないが、実は建物は住居だ。実際に住宅街にあり、見た目では会社とは分からない。住宅だから、キッチンがある。ダイニングがある。だから、朝ごはんの風景もごく自然だ。まるで、自宅での朝ごはんと変わらぬ和気あいあいとした雰囲気だ。

なぜ朝食なのか

willfoward3

この日の朝食は広島出身のインターン生による広島焼き。とても美味でした。

「夜に会食だと普通ですが、家庭がある社員では時間的に難しい場合もある。だから、確実にみんなが集まれる朝がいい、ということでこのスタイルになりました。以前のオフィスでもパワーモーニングはやっていましたが、このオフィスにこしてからはキッチンが充実しているので“レベル”が確実に上がりましたね。結果、昼もここで食べる人間が増えました」と成瀬社長は明かす。

微笑ましいエピソードだが、実は同社には衝撃の事実がある。なんと、ルール、つまり就業規則が全くないのだ。つまり、出社の必要もない。ということは、このパワーモーニングへも出席義務は基本ない。ところが、朝食には毎回ほぼ全員が集結し、まさに家族のように楽しそうに食卓を囲む。

「以前のオフィスは駅前で立地はよかったんです。一方、ここは住宅街。駅からも遠い。寄り付く人間が減ることも覚悟していましたが、むしろ居つく人間が増えましたね。引っ越しに際しては、いろいろな物件を見て回りましたが、最終的は、うちは社員というより家族だから住宅だよね、という感じでここに決まりました」と成瀬社長。

同社がルールより大事にするものとは

いわゆる会社運営に対するアンチテーゼ。それが「家族」というワードに集約されているといえる。つまり、「家族」には明確なルールはない。あるのは、きずなであり信頼関係だ。逆にいえば、ルールがないからきずなや信頼が強まるともいえるのかもしれない。それが真なのか…。ルールを撤廃した同社の経営は、それを証明するための成瀬社長の壮大な実験でもある。

ルールなき組織は無秩序にならないのか--。そんな疑問が当然湧く。企業としてしっかりと利益を生み出せるのか、という心配もよぎる。社員が暴走し、問題や不利益をもたらさないのか、という不安もある。従来の会社のあり方を基準に考えれば、老婆心ながら、不安やネガティブな要素が山のように浮かんでくる。

ノールールスタイルに不安はないのか…

willfoward4「心配は全くないんです。実は私は前職ではコンサルをしていました。それこそ24時間働くサラリーマンでした。そして成績は常にトップ。ただ、本当に多忙でしたから、ルールはほとんど守りませんでした。疲れたら昼寝もするし、予定があれば朝礼には出ません。結局、ルールって最大限に成果を出そうとすると邪魔になってくるんです。ルールで縛るのは確かに楽だと思います。でも、それではそれに従えばいいだけになり、思考停止になる。クリエイティビティが育まれないんです」と成瀬氏は、ルールをなくした理由を明かす。

大胆不敵にみえる、ルールなし経営。客観的には、その先行きにネガティブ要素しか浮かんでこないが、当の成瀬氏にとっては、ウマくいく道筋がハッキリとみえているかのような強かさだ。それは自身の経験で得た仮説に、強い手ごたえを感じているからだろう。インタビュー後編では、その実態や自信の秘密をさらに深く掘り下げていく(後編へ続く)。


<プロフィール>
1980年北海道札幌市生まれ。筑波大学体育専門学群出身。学生時代は箱根駅伝を目指して、競技者としてだけではなく、トレーナー、マネージャー、リクルーターとしての活動。卒業後は、起業か就職で迷った末、アチーブメント株式会社に入社。営業・新規事業を経て人事採用担当へ異動。全国の大学や学生団体などでセミナーや講演を実施し、広告を使わずに口コミだけで8,000名以上の大学生をエントリーを集め、入社したい企業ランキング25位の企業にする。退社後、2011年8月にウィルフォワードを設立。既存の管理型組織運営とは大きく異なり、愛を土台に、クリエイティビティを最大化させるために、ルールや規則をとっぱらい、自由でありながらも家族的な強い絆で結ばれた組織作りを行う。「同じ釜の飯を食う」ことで仲間になる「お仲間(同釜)理論」や、ランニングをしながらミーティングをするランミーティング、学びと親睦を深めるためにインターン生も連れて海外へ研修に参加する「うぃるとり」、社員のみならず家族も一緒に参加してキャンプやスポーツをする「うぃるれく」などそのユニークな取り組みも数多く実施する。


【会社概要】
株式会社ウィルフォワード会社名  株式会社ウィルフォワード(Willforward,Inc.)
所在地  〒153-0064 東京都目黒区下目黒4-15-13
代表取締役      成瀬 拓也(Takuya Naruse)
設立    2011年8月8日
資本金  500万円
事業概要:インサイドアウトマーケティング事業
メディアプロデュース事業
クリエイティブ事業
コラボレーション事業

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について