企業風土

オフィスにいながら社員がノマドな働き方をする会社

投稿日:2014年8月21日 / by

00Touch Down Island001逆転の発想から生まれた斬新空間

(株)ワンオブゼム

ノマドワークスタイルを会社でやったらどうなるのか…。企業のリモートワークの導入が活発化する中、(株)ワンオブゼム では、ノマドの働き方をヒントに、オフィスを“ノマド”仕様にデザイン。社内なのに、ノマドワーカーさながらの自由気ままに働ける空間が実現している。

ノマドの動きから着想

石根氏

オフィス誕生の経緯を説明する石根氏

ノマドワーカーと呼ばれる人は、拠点を持たず、主にカフェやホテルラウンジ、シェアオフィスなどを転々としながら作業を行う。テクノロジーの進化により、ラップトップと通信手段さえあれば、いつでもどこでも仕事ができる環境が整い、3年ほど前にフリーランスを中心にノマドワークスタイルとして大きく拡がった。

この状況に対する同社代表・武石氏は、ユニークな発想を展開する。「だったら会社が、カフェとかファミレスのような空間を実現することができれば 、オフィスでノマドができる」。まさに逆転の発想。オフィスレス&社員のノマドワーク許容という方向でなく、あえてオフィスにこだわるなんとも斬新な着想により、同社の個性的な空間は誕生した。

「私どもはゲームを開発するクリエイティブな仕事ですから、自分たちが楽しく働かずに楽しいコンテンツは生みだせないというポリシーがあります。ですから、オフィスは、社員がそれぞれ最もパフォーマンスを出せる場として機能することを最優先にしています」と同社石根氏。

社内にファミレスやカフェ?

では実際、オフィス内は、どんなつくりになっているのか。エントランスを抜けるとホテルラウンジ風のゾーンファミレス風のゾーンが視界に入ってくる。奥へ進むとカフェ風のゾーンがある。コンテナのような塊りは、中を覗くとマンガ喫茶風の個室だった。防音設備を装備した集中室もある。立ち話をしているかと思えば、立ち会議スポットだった。

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オフィスというよりちょっとしたラグジュアリー空間の印象が強い。左は立ち会議スポット。

ちょっとオフィスを探索しただけで、何通りものワークスペースに巡り合える同社。しかも「●○風」といっても、しっかりとつくり込まれており、雰囲気だけ、といったレベル ではない。もはやそこにはいわゆる執務室のイメージはなく、まさに社長が発想した、ノマドワーカーが点々とするスポットが、一つのオフィスに見事なまでに凝縮されている。

いってみれば、ノマドワークスタイルのテーマパークともいえるような空間。この中で、社員は、それこそノマドワーカー同様に自由自在に作業場を転々とする。ある者はカフェゾーン、ある者はファミレスゾーン、ある者はマンガ喫茶風個室…といった具合に、それぞれがその日の気分や目的に合わせ、最も気持ちよく仕事ができるスペースに腰を下ろし、業務にあたる。

十分にクリエイティビティを刺激する空間には、いたるところにホワイトボードがあり、浮かんだアイディアを書き残せる。ファミレス風ゾーンは、なんとテーブルがホワイトボードだ。さらにスタンディングでの打ち合わせスポットもあり、ひらめきやアイディアをすぐに形にする“仕掛け”がさりげなく施される。

漂う空気も自由気まま

右脳を刺激しまくるうらやましい限りの魅力的なオフィスだが、漂う空気もいい意味で自由きままだ。服装を筆頭にルールがちがちのサラリーマンと比べると、ほとんどのことが個人の判断にゆだねられていることが大きな要因といえるだろう。

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ファミレス風スペース(左)に集中ルーム(右)

「結局は、いかに結果を出すかですからね。最もいいパフォーマンスを出すための優れた職場環境であり自由ですから。そもそも、弊社へ来る人材はこうした環境というよりも、社長の人柄にひかれてくる人が多く、高学歴の人が、報酬にこだわらず集まってきている部分もあります」と石根氏。自由すぎる環境の弊害として“緩み”を生むという危惧は全くの無意味。むしろ、そうした柔軟な考えこそが優秀な人材を引き寄せ、業務の質を高めている。

ノマド制度もかすむ自由空間

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ラウンジ風エリアではくつろぎながらワーキング

ノマドの働き方に端を発した同社のオフィスづくり。実は、実際に「ノマド制度」というのもある。その名の通り、会社でなく、自宅や外で業務を行うことが可能な制度だ。「弊社はシングルマザーも何名か働いているのですが、そうした人は急な予定ができたりすることもある。そういう場合などに、この制度は有効に活用されていますね」と石根氏。オフィスが“ノマド空間”となっているだけに、本来なら斬新な制度も、何となくかすんでしまうのは不思議な感覚だ。

オフィスに腰を据え働くこととノマドのように自在に場所を変えて働くことの大きな違いは、時間と場所に縛られるか否か。同社の場合、最低限の縛りと、オフィス内限定ながら、フリーアドレスと内装の工夫で“場所の自由”も実現している。このスタイル導入による効果は一般的な施策に比べると分かりづらい側面もあるが、成果物の質やなによりも社員の働く姿勢に、目には見えない大きな効果がもたらされていることは間違いないだろう。


【会社概要】

http://oneofthem.jp/

http://oneofthem.jp/

会社名:株式会社ワンオブゼム / 英語表記:(THE) ONE of THEM,Inc.
本社所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿1-28-11 小杉ビル4F
代表者代表取締役: 武石幸之助
設立:2011年1月21日
資本金:384,227,000円
主要株主: 武石 幸之助
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ(運営ファンド)
インフィニティベンチャーズLLP(運営ファンド)
株式会社サイバーエージェント
役員: 代表取締役社長CEO 武石 幸之助
取締役:   張 青淳
社外取締役: 今野 穣(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーCOO)
社外取締役: 小林 雅(インフィニティーベンチャーズLLP 共同代表パートナー)
社外取締役: 田島 聡一(株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ 代表取締役社長)
社外監査役: 平田 幸一郎(有限会社アドバンスワン 取締役社長)
事業内容:
1. スマートフォンアプリケーション事業
2. モバイルゲーム事業
3. スマートフォンマーケティング支援事業 他

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