企業風土

ママ社員が働き続けられる“特権”が与えられる会社

投稿日:2014年4月2日 / by

出産・育児が就業継続プランに自然に溶け込む仕組みとは

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現在、都内でゲストサービスとして活躍する杉山千里さん

(株)ポジティブドリームパーソンズ
企業にとって女性の活用が、戦略的にもこれまで以上に重要になりつつある。産休、育休、時短勤務…など、様々な制度が導入され、その環境は整いつつある。一方で、いまだムードとしてそうした制度を活用しづらいという側面が拭い去されていない実情もある。ホテル、レストラン、ウェディング等の事業を手掛ける(株)ポジティブドリームパーソンズの「ポジティブ・ママズ制度」。中身はいわゆる女性向けの制度だが、その枠組みを超えた仕組みとして機能し、働く女性の“特権”として、ママさん社員の活躍に大きく貢献している。

ママさん社員の“特権”、ポジティブ・ママズ制度

結婚、出産、育児…など大きなライフイベントが控える女性ワーカーは、その都度、進路に悩まされる。退職か休業か…休業を選択しても、復帰にあたり様々な事情で断念するケースも少なくない。「ポジティブ・ママズ制度」は、そうした進路選択において、様々な課題を個々の事情に合わせ、自在に使える仕組みで、いわゆる人事制度とは一線を画す。

「この制度は、女性の多い職場の中で、これまで個々の事情にあわせて対応していたものをきちんと形にするために“制度”として明文化したものです。いわゆる福利厚生とは違い、社員を“守る”ためのものでなく、女性が“働きやすく、活躍できる職場にする”ためのものという位置づけです」と同社広報の金井高子氏は説明する。

一般的な制度と何が違うのか

実際、その仕組みはいわゆる女性向けの制度と似ているようで大きく異なる。基本的には、育児に伴うママさんサポート制度に違いない。だが、その項目は10と細かく、育児中に遭遇する様々な場面をきめ細かく想定する。最大の特長は、これらを最初に簡易的に申請して以降は、当人の裁量で自在に活用できる点だ。

ポジティブ・ママズ制度で職場でも輝く杉山さん

ポジティブ・ママズ制度で職場でも輝く杉山さん

「よくある人事制度のような煩雑な手続きは必要なく、簡単な手続きで制度は活用できます。その後は、自分でどう活用するかを任せられているので非常に使いやすいですね」と、実際に制度を活用しながら、一児のママとして働き続ける同社の杉山千里さんは明かす。

妊娠が判明すれば、検診などの通院をしやすくするために自動付与される妊婦休暇付与制度「ママ・ケア制度」、出産予定日の8週間前から出産休暇取得可能となる出産準備休暇制度の「ママ・レディ制度」、1日最長3時間(30分単位)で就業時間を短縮可能な「ママ・タイム制度」、転勤が免除できる「ママ・正社員制度」…。それぞれは珍しい制度ではないが、面倒な申請なく、その時その時に自分の裁量で活用の判断ができるため、杉山さんもセルフマネジメントの一環として、気兼ねなく活用できたという。

復帰を前提としていても、子育てで職場を離れるとどうしても不安がよぎる。そうしたことへのフォローとして隔月で社内情報通信「ママズ通信」が送付される。これは「変化の激しい会社ですので、通信によって同じような状況のママさんや会社情報が入ってくるのはとてもありがたかったですね。おかげで復帰後も違和感がなかったです」と杉山さん。その他にも休業中に幹部との面談などもあり、同社にはママさん社員が仕事を継続するための環境が、制度以外でもしっかりと整備されている。

押し付けるのではなく「与える」からうまくいく

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2人目を妊娠中だが、何の心配もないという杉山さん

どうすれば、女性を継続的に雇用し続けられるのか…。企業にとっては簡単でない大きな課題だが、「ポジティブママズ制度」にはその解決のための多くのヒントがちりばめられている。つまり、制度に押し込むのでなく、制度を使える“特権”を与え、自在に活用できるようにするのである。

結果的に、どうすればスムースに復帰できるのか、子育てによる障害を回避できるのか、をママさん自身がセルフマネジメントすることにつながり、気持ちを前向きにするとともに、“戦力”としての成長を促すことにもなる。「妊娠した。どうしよう」から「妊娠した。復帰プランを考えよう」へ--。同社の取り組みは、どうしてもネガティブになりがちな事態をポジティブに変える絶妙な力学を内包しており、女性が活躍しづける会社づくりのお手本となる参考事例といえそうだ。


【ポジティブ・ママズ制度】
「女性が働き易く、活躍できる職場であるために」を目的にここで対応していたものをまとめて明文化した。「ママ・カムバック制度」、「ママ・コム制度」、「ママ・正社員制度」、「ママ・在宅勤務制度」、「ママ・ケア制度」、「ママ・レディ制度」、「ママ・オフ制度」、「ママ・タイム制度」、「ママ・ヘルプ制度」、「ママ・ロング制度」ときめ細かく、対象となる正社員・契約社員は自由裁量で活用できる。

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