企業風土

リストラ時に分かる会社員の天国と地獄【瓦の目】

投稿日:2015年5月8日 / by

リストラがあぶりだす人間性

あなたは生き残れるタイプですか

あなたは生き残れるタイプですか

フランスの国営原子力企業アレバが、大幅な人員削減に着手する。赤字が続いており、経費削減策の一環として実施。規模は、全世界で5000〜6000人という。世界最大の原子力複合企業の同社は、東日本大震災の原発事故の際も支援に動き、原子力産業における影響力の大きさがうかがいしれたが、トラブル続きで経営は厳しい状況におかれていた。

原子力というある意味で特殊な産業でのリストラは、いわゆる整理解雇とは少々事情が異なるといえるだろう。なぜなら、潰しがききにくいからだ。通常なら、解雇された社員には他社へ移るという選択肢もあるが、原子力については、今や世界的に廃絶の方向にある。100%なくなることはないにしても、大幅に縮小の方向に向かうことは確実だ。10年前なら前途洋々だっただけに、ダメージはなおさら大きいだろう。

リストラ時に分かれる社員のタイプ

延々続くと思われた線路の先が突如分断される社員は、大きく4つのタイプに分類される。(A)「ふざけるんじゃない、会社が責任とれ」としがみ付く社員、(B)「この時世だから仕方がない。お金と職の斡旋で妥協する」という物分りのいい社員、(C)「こんな会社はもいい。原子力に未来はない」と無鉄砲に飛び出す社員、(D)「原子力産業では難しいが、培ったスキルを何かに活かし、別の業界で頑張ろう」と前向きに新たな人生を歩む決意をする社員、だ。多数派はAタイプだろうが、同社の場合、莫大な退職金が出ることも予想され、意外にBタイプが多いかもしれない。

問題は、どのタイプがいいかではない。だが、確実に言えることがある。それは、どんな時でも地に足をつけて歩んでいけるのはDタイプということ。そして、これからの時代、企業に求められる人材は、Dタイプということだ。Dタイプはつまり、自立型の社員だ。自分から仕事創りだし、動き、会社に貢献するタイプの人材だ。その他3つのタイプは、レベルの差こそあれ、ぶら下がり型であり、受け身型で、これまでの会社員に必要とされていた資質を備えた人材だ。

なんどきもうろたえない社員でいるために

世界的な優良企業だったアレバ社。それだけに、社員の多くは入った時点で“勝ち組”と自覚していたかもしれない。多少経営が傾いたとしてもまさかリストラはない、そんな確信があったかもしれない。だが、そのまさかが現実となった。世の中、本当に何が起こるか分からない…。

人間は、分かってはいても、有事に直面して初めて、現実の厳しさに気が付く愚かな側面がある。危機は、できれば事前に察知したいものだ。働き方については、少なくとも「自分は何かにぶら下がっていないか、あてにしていないか」。それを常に自問自答しつつ、もしも会社がなくなってもやっていける“武器”を身につけ、磨きをかけることが、基本だが最大のリスクヘッジといえるだろう。いかなる経済情勢でも強い会社はむしろ、社員が経営を支えている、という現実をしっかりと認識しておく必要がある。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について