企業風土

会社の機能の“一部”になった共働スペースが誕生

投稿日:2015年1月7日 / by
会社の機能の“一部”として誕生した共働空間(右端が加藤代表)

会社の機能の“一部”として誕生した共働空間(右端が加藤代表)

(株)トップゲート(東京都文京区)が運営する「Studio Geeks」は、東京・本郷にあるコワーキングスペースだ。昨今、周辺にはチラホラとコワーキングスペースが誕生。メッカ・渋谷とは違ったカラーで各スペースがその存在を示す中、2014年10月に誕生した。

若きIT起業家を支援する目的で設立された同所は、そのつくりや価格設定において、特に他のスペースとの差異は見られない。だが、実は、“立地”において、大きなメリットがある。ビル上階に運営企業が入居しているのだ。

なぜそれがメリットなのか。同社は、Google の技術をコアとした開発・コンサルティングを手がける。その技術力は日本トップレベルで、日本国内のサードパーティー ベンダーとしてはじめて、Google Cloud Platform(GCP) 認定のトレーニングを行うほど。それほどGoogleからの信頼が厚く、太いパイプを持っている。

あえて、同じビルにコワーキングを構えたのも、そうした同社の技術者が頻繁にフロアに出入りし、若きエンジニアと交流することで、互いに高め合うためだ。日本トップクラスのグーグル系エンジニアと直に接する機会はそうそうなく、野望に満ちた若きエンジニアにとっては、最高の環境といえるだろう。

フロアはファミレスと居酒屋が合体したようなリラックスムードが充満

フロアはファミレスと居酒屋が合体したようなリラックスムードが充満

「実は、もともと弊社で行うGCP等のセミナースペースを探している中で、ビル別フロアに大きな空き物件があり、ならばセミナースペースにとどまらず、コワーキングスペースを開設してしまおうとなったのです。全く運営ノウハウはないのですが、もともと若い起業家を支援したいという思いはありましたので決めました」と代表取締役の加藤 昌樹氏はコワーキングスペース運営に至った経緯を説明する。

つまり、同所はコワーキングペースであり、かつ若き起業家のインキュベーションスペース的意味合いも備えているといえる。運営が同社ならではのメリットとしては、 Google Appsの無料利用、テスト用端末(iOS/Android各種)の無料貸出し、Google関連技術についての在籍エンジニアへの質問、3Dプリンター利用、システム開発やアプリ開発などの技術的相談、Google Cloud Platformの活用法や、動向などについて最新の情報の提供、などがある。

入居者が明確な目的を持っていれば、スキルや能力を存分に伸ばせ、起業の可能性を最大化しやすい環境が、同所には整っている。「士業の方とも連携するなど、起業の支援態勢を充実させ、そこを中心には考えています。ですが、優秀な人材で弊社にジョインしたいという希望があれば、その道を閉ざすつもりはありません。また、入居対象はIT系が主流になるでしょうが、全くの異業種の方も歓迎です。いろんな人が集まり、相乗効果が生まれる。そんな場所になるといいなと思っています」と加藤代表は展望を語る。

スタジオギークス

掘りごたつスペースの打ち合わせもなかなかいい感じです

エンジニア集団の同社にとって、コワーキングスペースの運営は全くの素人。もっとも、そもそも利益を求めての事業展開ではない。期待しているのは、リアルの場が生みだす出会いやつながり、それに伴う新たな展開だ。その意味で、同所の開設は、同社による、新しい働き方へのトライアル的な位置づけともいえる。

次世代のワークスペースについては、よりオープン化し、外部企業との同居も珍しくなくなり、互いのリソースを掛け合わせながら、シナジーを生み出していく共創型が主流になる、との予測がある。別フロアながら、同じビルにオープンなワーキングスペースを設ける同社の試みは、まさにその流れに通じるところがある。

フリーランスが、自由気ままに働きながらシナジーにも期待するスタイルからもう一歩踏み込んで、企業がそのリソースの一部も提供する形でのコワーキングスペース。単なる場所貸しでなく、企業の機能の“一部”となることで、自ずとコンセプトが明確になるだけに、入居者の潜在力も引き出されやすく、思わぬ化学反応が期待できる新たな潮流といえそうだ。

なお、同所では、戸締りの管理などを行う入居者を募集している(審査アリ)。キーを持つことに加え、月額使用料減額などの特典がある。

 

 

 

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