企業風土

自由気ままに働ける理由

投稿日:2014年8月19日 / by

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新時代の会社発展の黄金律

(株)ユーザベース

COO

稲垣裕介氏

自由気ままに働く。厳格なルールの中で働くことにくたびれたビジネスパーソンにとっては、理想のワークスタイルといえるだろう。(株)ユーザベースでは、ほとんどの作業を各自が自主的に進める。まさに自由気ままな働き方がそこにある。何ともうらやましい限りだが、同社の働き方からみえてくるのは、新しい時代の会社発展の黄金律だ。


時間も場所も基本は社員の自由裁量

「出勤時間」、「労働時間」、「作業場所」。同社には、会社員にとっての王道といえる3つのルールさえ、個人に選択肢が与えれれ、自由度が高い設計となっている。業務によっては在宅勤務も奨励されている。作業の現場レベルにおいても、チームにリーダー的存在はいるものの、裁量はメンバー個々に委任。つまり、プロジェクトのゴールこそあれ、そこへ到達するプロセスにおいては、基本“自由気まま”に作業ができる。

稲垣氏

自由気ままに働ける理由を語る稲垣氏

「私も含めた創業メンバーが、人生がトータルでハッピーであることを追求していることが自由に働くことの背景にあると思います。私自身について言えば、前職で自由に働かせてもらっていて、それが非常に心地よかったというのもありますね。もちろん、そのためには責任が伴うのはいうまでもありません」と同社COOの稲垣裕介は説明する。

なぜ成り立つのか

そもそも働くこと自体に責任は伴う。仮にやらされ仕事としても、遂行責任はある。そこへさらに自由裁量が加われば、その度合いによって、責任の重みは増す。そうした「自由」と「責任」のあたり前の相関を全員がはき違えることなく、しっかり共有することで、同社の自由気ままな働き方は成り立っている。

唯一最大の決まりごと「7つのルール」

とはいえ、人間である以上、「自由」という権利を手にすれば、緩むこともある。自由ゆえにゴールを見失うことだってあるだろう。そこで同社では、それまで暗黙で思想として共有していた方向性を明文化。全員が迷うことのないよう、形にした。それが唯一最大の決まりごと、「7つのルール」だ。

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当たり前だが、執務フロアではみな普通に働く

その第一番目にあるのが(1)『自由主義でいこう』だ。そこには「自由は、楽しい。精神をあらゆる方向へ解放し、可能性を無限に引き出してくれる。自由な環境な中でこそ、私たちの創造力は最高のパフォーマンスを発揮する。一方、自由は私たち一人ひとりに責任を要求する。それは自由を奪うものでなく、自由であるためのもう片方の翼である」と解説が添えられている。

(2)の「創造性がなければ意味がない」は、なぜユーザベースがやるのか、ユーザベースの強みが生きているのか、といった会社の独自性を追求する。(3)の「ユーザーの理想から始める」は、工数の問題など、作り手側の論理に陥ることへの予防線といえる。「スピードで驚かす」の(4)は、納期に対する高い意識づけにみえる。(5)の「迷ったら挑戦する道を選ぶ」は、継続的な成長を志向して、楽な方向へ行かずに挑戦し続ける姿勢を示している。(6)の「渦中の友を助ける」は、チーム力の大切さも忘れない。そして(7)「異能は才能」では、国籍、人種、宗教、性別、性的指向などの違いに囚われず、多様な個を尊重することを打ち出している。

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同社の自由気ままを支える7つのルール

同社の自由気ままな働き方を成り立たせる、考え抜かれたたった7つのルール。最小限の“決まり事”が個々の能力を最大限に引き出すことにつながっているのは、ルールでがんじがらめの会社がわずかな進化にさえ苦しむ姿とはあまりに対照的だ。

「自由=放置じゃない」と稲垣氏は言う。各社員は、全く制約を感じていないが、実は会社が目指す大きな枠組みの中で、思うままに働いているに過ぎない。それが、同社の「自由気まま」の実像といえる。

無意味なルールからの解放が生む柔軟な発想

ほとんど意味のないルールやしきたりから解き放たれた同社の経営判断は、迅速で型にはまらない。自社サービスの海外展開を進めることは「対象となるサービスが海外にあるのに出ない理由がない」(稲垣氏)と当然のように言い放つ。確かにその通りだが、一般企業なら、やれ市場が、やれ予算が、やれ人員が…と足踏みし、商機を逃してしまいがちだ。風土に自由が根付いているとこれほどまでに発想が柔軟になるものかと、感服するほどだ。

現在、同社ではグローバル展開を併せ、人材の多様化を進める。特に外国人社員の登用を積極的に推進する。「これについては、弊社の課題と思っています。人材は順調に集まっていますが、多様性の中で一つの考えを押し付けるわけにもいきませんし、良さを生かしつつどう落とし込んでいくのか…。効果は別としても、その意味では従来型のやり方は楽でしょうね」と同氏。もっとも、ベースに多様性を許容する「自由」があるだけにその克服は、従来型企業に比べれば、驚くほど簡単に違いない。

遅刻厳禁、私語禁止、報・連・相の徹底…社風や独自ルールとは関係なく、社会人としての一般的なルールというのはもちろんある。だが、必要以上の規制は、従順さを押し付けはしても、主体性、ましてや革新性など望むべくもない。最低限のルール下で、最大限の自由を与える同社のスタイルは、一層の多様性や柔軟性が求められるこれからの時代、新しい「働かせ方」の理想に限りなく近いといえるだろう。


【会社概要】
社名:株式会社ユーザベース / UZABASE, Inc.
設立:2008年4月1日
資本金・準備金:277百万円
所在地:〒107-0061 東京都港区北青山2-11-3 青山プラザビル6階
役員・顧問:
梅田優祐 代表取締役共同経営者
新野良介 代表取締役共同経営者
稲垣裕介 取締役COO
仮屋薗聡一 社外取締役
岩澤脩 東アジア事業統括 執行役員
佐久間衡 日本事業統括 執行役員
竹内秀行 イノベーション担当 執行役員
村上未来 事業管理担当 執行役員
佐々木紀彦 NewsPicks編集長 執行役員
事業内容:企業活動の意思決定を支える情報インフラの提供。ナレッジワーカーのための情報プラットフォーム「SPEEDA」、ニュースキュレーションサービス「ニューズピックス」の開発・運営。

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