企業風土

副部長は何のために存在するのか…【瓦の目】

投稿日:2015年9月4日 / by

副部長が不要なわけ

https---www.pakutaso.com-assets_c-2015-08-150404367836-thumb-1000xauto-19084業績不振のシャープの再建プランが明らかになった。管理職を半分以下にし、社内を事業ごとに分けるカンパニー制を導入する。簡単にいえば無駄を省き、個々の責任を強め、主体性を醸成する組織へ一新するということになる。その成否はともかく、これまでいかに脂肪がまとわりつき、重大疾患目前の超メタボ体質だったかが、逆説的に浮き彫りになる施策といえるだろう。

ポスト削減で分かりやすいのは、「副」の付く役職の廃止だ。これは妙案だろう。部下にとって、副部長は相談しても無駄な典型ポジション。なぜなら副部長に相談する。それをもとに部長に相談する。「それはダメだ。こっちでいけ」(部長)。そうなれば、副部長の意見は無駄になる。仮に「それでいい。それでいこう」(部長)となっても、無駄に一階層を経由しただけになる。つまり、副のポジションの人間への相談は、筋を通すだけの行為でしかないのだ。

副部長にしても、「オレはこう思うが部長がなんというか…」という悩ましさもある。ゴマすり系なら、「とにかく部長に従え」というかもしれないが、こうなると組織にとって副部長は、ただのお飾りレベルで、会社に何の利益ももたらさない害悪でしかない。なぜこんなポジションができたのか、いまとなっては違和感しかないが、年功序列がしっかりと機能していた時代には、「次期部長」の記号としての意味はあったのだろう。

副部長より複部長制?

そもそも、もはや、上司が部下よりも知識の面で上回るということはなくなりつつある。上を行くとすれば、修羅場をくぐった数や経験となる。その意味では、徒に増やす必要はないものの、知識だけではクリアできない微妙な駆け引きや判断をする役割として、マネージャーという役職のニーズはある。これからは、実績よりもむしろ、そうした部分に長け、自分の立ち位置をしっかりと認識できる人材が、組織運営を円滑にする役割として上に立つことが、激動の時代を生き残る上での有効な人事戦略といえるだろう。「副」廃止の代案をあえて考えるとすれば、多様な視点での判断を可能にする“複部長制”ならいいかもしれない。

次世代の働き方では、自立が強く求められる。逆にいえば、多くの裁量が個にあてがわれ、やる気とスキルさえあれば、どんどん仕事を進められる時代となる。昨今は、そうした流れをさらに進め、社員の独立を後押しする企業も増えつつある。よりフラットになる組織の先には、企業と社員の関係が、「雇う-雇われる」から、プロジェクトオーナーとその実行メンバーという、対等かつプロフェッショナルな関係性が透けてみえる。シャープ解体と再生のプロセスをこうした観点でみれば、いろいろな予兆やヒントがみえてくるハズだ。

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