
現行人事制度は実質破たん状態

現在の人事制度が問題なく運用できているか(トランスラクチャ調べ)
人事制度がなんと2割しか機能していないことが分かった。(株)トランストラクチャ(東京都千代田区、代表取締役 シニアパートナー:林 明文)は、2014年2月14日~27日に、上場および未上場企業の人事担当者を対象に「人事制度に関する調査」を実施。その結果から判明した。
人事制度は、社員の処遇や労働環境のカギを握る重要な要素。それがなんと2割しか機能しておらず、事業環境などと大きなかい離があることがアンケート結果から導き出された。
現在の人事制度が問題なく運用できているかの質問に対し、「問題ない」と回答した企業は21%。一方で「一部課題がある」が69%、「大きく課題がある」も10%あった。
課題については、「人材配置に活かしていない」、「人事評価の品質が低い」、「人材育成に活かしていない」がトップ3となった。

どれくらい人事制度を運用しているのか(トランスラクチャ調べ)
では、どれくらい人事制度を運用しているのか。これについては「3年未満」が29%、「3~5年未満」が18%、「5~7年未満」が16%、「7~10年未満」が9%、「10年以上」が28%という結果となった。
その上で、人事制度の寿命については「3年未満」8%、「3~5年未満」29%、「5~7年未満」26%、「7~10年未満」27%となった。
さらに現行の人事制度が現在の事業環境・経営方針と適合した内容になっているかについては、「適合している」と明確に回答した企業が39%だったのに対し、やや適合していない48%、適合していない13%で、6割以上が事業環境と経営方針とのズレを認識していることが浮き彫りとなった。
終身雇用制をベースとした人事制度をこれまでのスタンダードだとすると、すでに事実上崩壊しており、そのままでは多くの問題が噴出するのはある意味で必然。増え続ける非正規と正社員との賃金格差の問題、少子高齢化による定年延長、女性活用に伴うリモートワークの導入など、今後、予想される新しい働き方へのシフトを視野に入れれば、人事制度はこれからさらに修正・改正が繰り返されることになるだろう。
こうしたことに加え、労働環境を取り巻く法制度などの改正なども絡んでくる。その先には、企業の在り方の変質や働き方、さらに雇用形態そのものの大きな変革といううねりが起こることも十分に考えられ、この調査結果は、そうした動きへの兆候ととらえてもよさそうだ。