
労働基準監督官が弁護士に完敗
伝衛門 いや~、最後も完敗でしたね。あっしは毎週欠かさず見てたでやんすけどね。
お毒 日テレ系の連続ドラマ「ダンダリン 労働基準監督局」(水曜午後10時)ね。あたしも労基にお友達がいるから見てたんだけど、視聴率は悪かったみたいね。配役もシナリオも悪くはないと思ったんだけど、キャラ付けになんだかセンスを感じなかったわね。
伝衛門 最終回の平均視聴率は、8.5%。「倍返し」の約5分の一。さみしい数字でやんす…。あれと比べるとなんだか、軽い感じがしたでやんす。コメディなのかシリアスなのか中途半端で、入れ込もうにも入れ込めない。あっしは「倍返し」の時は、思いっきり前のめりになってたでやんすからね。
お毒 まぁ、あのキャラなら竹内結子じゃなくてもよかった感じよね。光浦靖子なんかでもよかったんじゃない。視聴率は保証できないけどね。刑事ものなんかはハチャメチャなキャラがいっぱいなのに、やっぱり労基が舞台となると、あんまり無茶なキャラ付けはできなのかしらね。
猫田先生 労働基準監督官は、労働基準法や労働安全衛生法等を遵守させ、労働条件の向上を図っていくことを任務とする厚労省の職員。警察と同じ国家公務員だが、取り締りの対象が労働関係だから、派手なキャラがいるのもかえって無理がある。ダンダリンで精いっぱいだろうな。まぁ、今年は流行語大賞に「ブラック企業」がノミネートされるなど注目を集め、その中でこうしたテーマを取り上げたこと自体を評価するってことでいいんじゃないか。
お毒 確かにドラマで取り上げるには地味なテーマよね。そんな中で匍匐前進やったり、逮捕権を行使したり、なんだか微笑ましいほどに、シナリオに抑揚をつける努力はしていたはね。ひょっとしたら、あれを見て労働基準監督官になりたい、って思う若者が出てくるかも。それにしても、情報収集の99%がラジオからとお噂の猫田のダンナが番組を見てたなんてね。
猫田先生 バッキャロー、全話ラジオで聞いたに決まってんだろ! で、ダンダリンはどんな顔してたんだ?
お毒 やっぱり光浦でよかったかも…。視聴率にも全く貢献してないし…。
伝衛門 実はアッシも、初回と最終回以外は裏の弁護士ものに浮気してたでやんす…。ウソついてました、スンマセン。この惨敗の屈辱は、ブラック企業の内側に大胆に切り込んだシリアスなドラマでスカッと「倍返し」ってのはどうでやんすかね。主演はもちろん、堺雅人。決め台詞は「お前ら、真っ黒だ!」。
猫田先生 とことんセンスねぇーな、おめーは。ちなみに残念ながら惨敗だったが、最終回は素晴らしいメッセージが凝縮されてたんだぜ。労働基準監督官の指導で会社をつぶされた元社長が「今はじめて働く幸せを感じている」と憎いはずの監督官に感謝し、企業に悪知恵をつけていた社労士(社会保険労務士)も、ブラック企業の極悪社長に「会社を守るためにはあなたは不要」と見事な判断でブラック企業を救った。ブラック企業という言葉があふれた1年を締めくくるには、鮮やかな「倍返し」でスカッとするラストではあったんだぜ。だから、リベンジには続編。主演は変更して、キムタクだよ。「アンドロイド 労働基準監督局」(TBSラジオ)。
お毒&伝衛門 ………。