企業風土

時間で“評価”する時代は終焉

投稿日:2015年9月28日 / by

『新しい働き方の教科書』<Lesson9>

長時間労働礼賛の元凶はマネージャー

timecardこれまでは遅くまで会社に残っていることが、会社に貢献する社員であり、高評価を得る基準となっていた。具体的に数値的な裏付けがなくとも、それだけ会社に対し、自分の身を捧げていることが“可視化”されるからだ。あくまで上司に対し、ではあるが。

だが、いまやそれでは単なる時間管理のデキないダメ社員に成り下がりつつある。当然だ。長くいることで業績につながるなら、シフト制を敷いて、24時間業務が途切れない体制をつくればいいからだ。それで業績がアップするとは到底思えない。にもかかわらず、長時間働く社員が評価されていたのは、マネージャーが無能だったからに他ならない。

いい仕事は、時間をかければいいというものではない。もちろん、じっくり時間をかけた方がいいものもある。それにしても、時間をかけすぎるのは仕事してお粗末だ。納期を決めた上で守るのは当然として、できるだけ早く、高品質なアウトプットを出すことがいい仕事の基準であるべきだろう。

マネジメントはいかに業務を最適化するかにある

無能なマネージャーはこの見極めができない。だから、意味のないダメ出しをして、ズルズルと納期遅れに加担する。ともすれば、そうやって叱ること自体を自分の仕事だと勘違いしている場合があるから厄介だ。こうしたこと続くと、賢明な社員はわざと最初は低クオリティで出す悪知恵を働かす。これほど無意味な時間の使い方はない。

1時間の仕事を10分でやれば6倍素晴らしい。単純にそれでいい。余った50分をどう有効に使うかを考えるのがマネージャーの役目だ。日本は全体的に残業体質だが、これは、こうしたマネージャーの体質がもたらす同調圧力が元凶だ。仕事の質とは関係のない、“空気”が、効率的な働き方を妨げている実状は、あまりに残念だ。

ここへきてようやく「時間より成果」という考えが、政府主導で本格化し始めた。大きなポイントは、時間は短いほどよいのが基準であるべきということだ。雑に仕事をするという意味ではもちろんない。判断、手さばき、チェック…あらゆるプロセスをスピーディーに行うことで、ハイクオリティのアウトプットを実現するということだ。同じ製品なら、短時間でつくった方が価値がある。それを考えれば、当然だろう。時間を管理するというよりは、時間を厳守して、逆算で無駄なく作業するという感覚を高めることが浸透への近道いえるのかもしれない。

◇ポイント 次世代の時間感覚は、前倒し厳守&逆算、がスタンダードに

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